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2009年6月28日 (日)

婚外子の相続差別は少子化の一因か?

628日の日本経済新聞社説「日本の『結婚』は今のままでいいのか」は、法的に結婚していない両親から生まれる「婚外子」の割合が欧米諸国で増え続けているのに対し、日本では格段に低いことを指摘し、出生率上昇の障害を取り除くためには、「婚外子の相続差別を無くさねば始まらない」と言う。

さっぱり分からない。

民法9004項は、嫡出でない子(婚外子のこと)の法定相続分は、嫡出子の2分の1と定める。この条文については、憲法の定める平等原則違反だという議論がある。私は、合憲論違憲論とも理解できる。理解できないのは、これと少子化問題を結びつける社説の考え方だ。だって、婚外子の相続分差別のせいで、子作りや出産をためらうカップルって、いるのだろうか?いるとするなら、若いのに、よほど金持ちで、よほど心配性なんだろうなあ。

もちろん、婚外子を作るカップルは、両方若いとは限らない。その典型は、妻子のある男性が愛人との間に婚外子を作るパターンである。相続分の差別が問題になるのも、このパターンが多い。この差別が合憲か、あるいは妥当かという問題は別途議論いただくとして、この問題と少子化との間に、関係があるのだろうか?もし相続差別を撤廃したら、いわゆる不義の子は増えて、少子化問題が少しでも解消に向かうのか?

この二つの例を比べていただければ分かるが、「婚外子」の相続差別の問題は、「婚内子」(こんな言い方はしないのだけれども)がいるから発生する。事実婚を選択したカップルや、誰とも籍を入れていない男女間で生まれた子供は「婚外子」だが、これと相続分を争う「婚内子」がいないから、相続差別は受けない。そして、少子化対策問題と関係する「婚外子」は、籍を入れない若い男女の間の子、すなわち相続差別を受けない婚外子が(少なめに見積もっても)大半だ。だから、理論的に見ても、婚外子の相続差別問題は、少子化問題の一因ですらない。

少子化問題は大事だろうし、家族法を少子化対策の観点から見直すことにも異論はない。ただ、その切り口として婚外子の相続差別をもってくるのは、見当違いだと思う。(小林)

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コメント

>その典型は、妻子のある男性が愛人との間に婚外子を作るパターンである。
>相続分の差別が問題になるのも、このパターンが多い。

えっ、大法廷の判決は親の命令で次々婿養子をとらされ、
婚姻を届出た場合とそうでない場合があり、
婚外子が出生したケースでの、母からの相続についてですが?

>私は、合憲論違憲論とも理解できる。

私は、母からの相続差別の合憲論が理解できませんので、
理解できるようにお教え願えませんでしょうか。

あとこんなのもあります。沖縄の事案です。(一部抜粋)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-88745-storytopic-86.html

申し立てていたのはA子さんとB夫さんの間に生まれた六歳と五歳の非嫡出子2人。
A子さんはB夫さんと結婚して3年余り子どもができず、
その間、別に交際していたC子さんが妊娠したため、B夫さんはA子さんと協議離婚しC子さんと結婚した。
B夫さんはC子さんとの間に2子をもうけたが、その間もA子さんと交際を続け、2人の非嫡出子が生まれた。

 B夫さんが1992年に死去。
2人の非嫡出子は那覇地裁でB夫の子どもであることの認知を求める裁判を起こして認められ、
相続人資格を得たが、民法では、遺言がない場合、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1と定められているため、
法の下の平等を定めた憲法14条に違反するなどとして、平等な遺産分割を申し立てた。

一般に、非嫡出子の遺産相続問題は調停などで解決することが多く、審判に至るケースはまれ。
非嫡出子側の申し立て代理人の永吉盛元弁護士は「審判決定が出たのは県内では初めてだと思う」としている。
永吉弁護士は「規定は明らかに憲法違反で国際条約にも違反する。最高裁でも判断にばらつきがある。
このケースのようにひどい事例では違憲と判断すべきだ」と、那覇家裁の決定を批判している。
……………………………………………………………………………………
「妻子のある男性が愛人との間に婚外子を作る」などというのは、
婚外子差別を肯定するための模式的な例にしかすぎないのではないでしょうか?
それから、差別は事実婚の子と養子との間にも生じます。

また、大半の婚外子が事実婚や未婚の男女の間の子なので、相続差別は受けないという主張をしていますね。
事実婚や交際解消後に他の相手と法律婚をすることは想定しないのですか?
大半というのは、どれくらいの割合ですか?具体的に数値で示していただけませんでしょうか?もちろん、根拠となる統計などもお示し下さい。

ところで、婚外子は相続分で差別を受けるかもしれないだけで、それ以外の差別は一切ないとお考えなのですか?
判決で、婚外子に対する社会的差別が事実認定されているのを知らないのですか?
で、相続差別と就職や結婚、あるいは蔑視などとは無関係なのですか?

このような状況下で、厚生労働省の2004年の人口動態統計によると、
死産届が必要な妊娠12週以降22週未満の人工死産20.077人中、19.355人が婚外子です。死産届にない妊娠12週未満の数値はどれほどでしょう。

未婚の娘さんが妊娠して、中絶をせまる親御さんの話を聞いたことはありませんか?おなかの中の赤ちゃんは、孫なんですよ。
法が差別を助長していませんか?

 ところで、「いわゆる不義の子は増えて」とありますが、法律家として「不義」を定義していただけませんでしょうか?
このエントリーがもってまわった婚外子差別の維持のためのものでないのならよいのですが。


投稿: グランサコネ | 2009年10月 4日 (日) 22時33分

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