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2010年6月20日 (日)

法曹人口はなぜ増えない

6月19日の毎日新聞朝刊「ニュース争論」に、標記の題名で、高木剛前連合会長と、宇都宮日弁連会長との討論が掲載された。

高木氏は、大要、「事前規制社会から事後チェック社会へ移行し、小さな司法を脱却して二割司法を解消するために始めた法曹人口の大幅増は、未だ不十分であり、これに反対する日弁連は既得権益を守りたいだけではないか」と主張し、対する宇都宮会長は、大要、「法曹人口大幅増だけ推進するには、司法基盤の整備や法的需要があまりに乏しく、そのひずみは就職難となって現れている。このままでは人権擁護と社会正義の実現という弁護士の使命を全うできない」と主張する。「立会人」と称する伊藤正志論説委員は、「弁護士に競争至上主義がそぐわないし、基盤整備も必要だが、今以上に司法試験合格者数を減らすのはいかがなものか」と述べた。

面倒だから、個々の発言や、発言者については、論評しない。私が指摘したいのは、これらの議論は、10年以上前から、ただの一歩も進歩していないという1点につきる。高木氏と論説委員の主張は2000年の議論の焼き直しだし、宇都宮会長の主張に至っては1990年初頭に遡る。

10年以上前の議論をそのまま蒸し返して何ら恥じるところのない彼らは、問題点を指摘する能力はあっても、それを解決する能力がないことを自認したに等しい。いいかえれば、学者や評論家としての能力はあっても、政治家としての能力がないということだ。こういう人たちは、連合や、日弁連や、マスコミといった権力組織を担ってはいけないと思う。

話は変わるが、「こんな日弁連に誰がした?」を著した関係で、記者の知り合いが増えた。彼(彼女)らの多くは30歳代半ばから40歳台前半なので、私からこう聞くことにしている。「あなたが社会に出てからこっち、世の中は良くなりましたか?悪くなりましたか?」すると彼らは一様に、「悪くなる一方ですねえ」と嘆息するのだ。「こんな日本に誰がした?」である。

政治という作業は、たとえて言えば、糸のもつれをほどくのに、どの糸を引っ張ればよいかを決めることだ。糸がもつれていると指摘することではない。司法に限らず、わが国のあらゆる機構がもつれており、機能不全を起こしていることは、四半世紀も前から分かっていたことだ(司法に至っては、60年代から指摘されてきた)。この間、日本では、もつれている、こんがらがっている、の大合唱で、政治は、ちょこちょこと色々な糸を引っ張ってみては、これではもつれがひどくなるばかり、と諦めることを繰り返してきた。バブル崩壊以降の「失われた20年」というのは、つまるところ、そういうことだと思う。

そしてわが国の「ベスト&ブライテスト」は、20年経っても、かつての議論を蒸し返すばかり。われわれは、いったいどうしたらよいのだろう。

ひさびさに頭に来る記事だったので、支離滅裂な文章になった。お許しいただきたい。

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コメント

 坂野弁護士もブログで指摘しておられましたが,
「法曹人口は増えている」のですから
http://www.nichibenren.or.jp/ja/jfba_info/membership/suii2.html
日弁連は断固たる抗議を行うべきでしょうね。

投稿: なしゅ@東京 | 2010年6月26日 (土) 22時34分

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