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2010年7月 9日 (金)

これから『正義』の話をしよう   マイケル・サンデル

Amazonで第1位のベストセラーだそうな。うらやましい。

自由経済の原理に照らせば、ハリケーン・チャーリーの直撃を受けた地方で、生活必需品を従来の数倍から十倍の値段をつけて売ることは正しい。功利主義の立場からすれば、テロ容疑者の口を割り、10万人の命を救うために、何も知らない容疑者の娘を拷問することは正しい。リバタリアン(自由至上主義者)の原理からすれば、自分の臓器を販売することは、それが自殺と同義であっても、常に正しい。

しかし、多くの読者がそう感じるように、これらの事例は、おそらく正義ではない。マイケル・サンデルは、ベンサム、カント、ミル、ロック、アリストテレスらの思想をたどり、正義について語り続ける。

最後にアリストテレスが出てくるので、「なあんだ、昔の人は偉かったってことね」と思いたくなるが、それはおそらく不正解だ。なぜ紀元前の思想が今、注目されるかといえば、たぶん、一神教が世界を席巻する前だったからだと思う。もちろん、ここにいう一神教は、共産主義や新自由主義といったイデオロギーを含む。

マイケル・サンデル自身が認めるとおり、一神教の時代を経験した人類にとって、何が正義かを語り、その正義から結論を演繹することは、きわめて危険だ。だからサンデルは、帰納的に、様々な事例から、明らかな不正義を指摘し、その後一歩進んで、正義と不正義の境目を探求する。そのアプローチは、恥ずかしながら、弁護士の思考過程と似ていると思う。

あまりに有名だったので、かえって手に取るのが遅れたが、知的刺激に満ちた良書。次は、同じく敬遠していた女子マネの本も読んでみよう。

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