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2010年8月12日 (木)

外為法はなぜ分かりにくいのか?

武器輸出三原則の緩和がニュースを賑わしているが、武器輸出を管理する法律が外為法だということは、弁護士でさえ知らない人が多いと思う。「外為法」は「外国為替及び外国貿易管理法」といい、後者が武器輸出を管理しているのだ。

この外為法という法律は、とても分かりにくい。本年8月には「超訳 外為法」が発刊された。管轄官庁の外郭団体自ら「超訳」本を出すあたり、その分かりにくさは折り紙付きだ。

外為法はなぜ分かりにくいのだろう。その最大の理由は、原則と例外が逆転していることにある。

わが国は自由経済体制を取る資本主義国家であり、工業製品の輸出を経済活動の源としている。だから、輸出の自由は憲法上保障されている。外為法上も、最小限度の制限のみ許されると明記され、例外として、政令で定める場合には、輸出が禁止されるとしている。

ここまでは、原則と例外の関係は他の法律と同じだ。簡単に言うと、わが国は自由国家なので、自由が原則であり、禁止は例外なのである。

ところが、ここからがややこしくなってくる。

上記のとおり、外為法は輸出自由の「例外」として、政令で定める場合には禁止されるとしている。これを受け、輸出貿易管理令という政令が、禁止される貨物の範囲を定めている。その内容は何と、食料と木材を除く「すべての」工業製品の輸出を禁止するというものだ。

…というとやや言い過ぎなのだが、大間違いではないし、とりあえず初心者の方には、そう思っていただいた方が理解しやすい。正確な解説は後日に譲るとして、まずはすべての工業製品の輸出が禁止されていると理解してほしい。

もちろん、禁止したままでは輸出が全くできなくなってしまう。そこで、輸出管理令や、その下位の省令等では、例外として輸出が認められる場合を規定している。さらにややこしいことには、例外の例外として、輸出が禁止される場合を規定していたりする。

復習しよう。外為法では、輸出は「原則自由」で、「最小限度の例外」が政令で定められるはずだった。ところが政令は、全部を輸出禁止と定めたので、「輸出禁止の方が原則」となってしまったのである。

これが分かりにくさの原因であり、外為法が抱える最大の問題である。

弁護士に限らず、大学で憲法を学んだ人なら、必ずこう言うだろう。「最小限度の制限はどこへ行ったのか?憲法上の自由が原則禁止だなんて、憲法違反じゃないのか?」と。

そうかもしれない。しかし現実問題として、数十年来、外為法はこのような構造になっているし、公に違憲と指摘されることもなく、輸出に関わる多くの企業が、この制度を前提に、活動を行っている。

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