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2010年8月17日 (火)

袋詰未検査米穀の不適正表示

農林水産省は64日、えひめ南農業協同組合が、「袋詰米穀について、未検査米を使用しているにもかかわらず、産地、品種及び産年を表示」した等として、JAS法に基づく指示を行ったと報道発表した。

「未検査米」とは、「農産物検査証明を受けていない原料玄米」をいう。米穀の生産者や、輸入業者は、生産し輸入した米穀について、検査を受けることができる(農産物検査法3条、4条)。「受けることができる」だから、受けなくてもよいし、未検査米のまま販売してもよい。だから、未検査米だからといって品質や安全性が劣るわけではない。ただ、未検査米を袋詰めにして販売するときには、品種、産年、産地を表示してはいけない。表示すると、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律19条の13に基づく「玄米及び精米品質表示基準」(農林水産省告示)5条に違反することになって、農林水産省の指導を受けるほか、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられる(JAS23条の2)。つまり、未検査米の場合には、正しい表示をすることも(コシヒカリをコシヒカリと表示して売ることも)禁止されるのだ。「未検査米」と断ってもダメ。ばかばかしいような気もするが、制度上はそうなっている。

脱線すると、未検査米についての上記の規制は、袋詰めで販売する場合に限定されている(玄米及び精米品質表示基準1条)から、インターネットで販売する場合の表示や、量り売りをする場合の表示については適用がない。いよいよ馬鹿げている。

未検査米でも販売できる、ということが消費者に直接関係するのが、レストランでの提供や、米飯(炊いたお米)としての販売だ。この場合は、JAS法の適用がない。実際のところ、未検査米が多く流通しているらしい。もちろんこの場合でも、事実でないことを表示することは許されない。たとえば、事実でないのに「当店ではコシヒカリ100%のお米を提供しています」と表示すれば、「不当景品類及び不当表示防止法」(いわゆる景品表示法)4条違反になる。しかし、未検査米であることを表示する義務はないので、表示しなかったからといって違法ではない。つまり消費者は、米穀を購入する場合は検査米か否かを区別して購入することができるが、米飯を購入したり有料で食べたりする場合は、この区別ができないということになる。

冒頭に記したとおり、未検査米であるからといって、品質が劣るとか、安全性に問題があるということにはならない。しかしそれなら、何のために米穀検査制度があるのか、よく分からなくなってくる。

話を戻そう。えひめ農協は、未検査米であるにもかかわらず、産地や品種・産年を表示したとして摘発された。一方、報道によれば、えひめ農協は、コシヒカリと偽って、あきたこまちを販売していた疑いがある。そうだとすれば、消費者にとって関心があるのは、検査米か否かではなく、品種の偽装があったか否かとなるはずである。しかし、農林水産省のプレスリリースでは、この点に全く触れず、えひめ農協も、不自然な弁解をしてお茶を濁している。

これでは、消費者目線とはとても言えないだろう。

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