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2010年9月17日 (金)

介護ロボット開発規制の国際比較

日本総研が内閣府の社会還元加速プロジェクトの委託を受けて作成した「革新的な介護機器等の開発促進に向けた基準・認証制度に関する国際比較調査研究」報告書を入手した。112ページと大部の報告書だが、米・欧・日の比較に関する要点を引用すると次の通りである。

アメリカ

介護ロボット等の革新的機器を開発した場合、まずFDA(連邦食品医薬品局)に事前審査を行う必要がある。その際、510(K)(という審査制度)においては、機器のリスクにかかわらずクラスⅢという最もリスクの高い機器として位置づけられる。しかしながら、開発企業がその安全性についてデータを添えて申し立てを行うことができる。申し立てが認められれば、そのリスクに応じて、クラスⅡやⅠに分類される。FDAは、リスクについて新たに検討を行い、要求事項を作成、必要に応じて510(k)の製品カテゴリーを見直し、新設することもある(少なくとも年1回見直す)。企業にとって、革新的機器の510(k)への対応は、手間はかかるものの決して困難なものではない。

欧州

介護ロボット等の革新的機器を開発する際には、明確な基準が必要なCEマークはハードルとなっている状況が見受けられる。車いすのような従来品の機能向上のレベルであれば、従来の認証基準を踏まえて自社で基準を定めることもできるが、全く新しい機能を持つような製品を開発する場合は、自社で基準を策定しなければならないというハードルが高く、開発に躊躇する状況であると言わざるを得ない。こうした革新的な製品に関しては、CEマークが必須でない、施設への直接販売から普及を図るといった工夫もみられる。

日本

介護ロボット等の革新的機器の開発については、現状、世界各国から日本企業の技術力は高く評価されているものの、実用化、製品化という点では海外に遅れをとっている。特に薬事法の対象となるか否かで、日本の基準は両極端の構造になっている。

   薬事法(医療機器)における認証までの期間や手続きや費用を含めハードルが高い。

   PL法に伴う企業イメージの低下や賠償責任といったリスクの大きさから、国が安全基準を定めないことを理由に企業が製品化を躊躇している(企業によるリスク回避)

   企業は高い安全基準を定めた自主基準によって自らを縛るかたちになっている。(実用化を視野に入れない)先端技術を駆使した商品開発が価格高騰につながっている。

   こうした状況を背景に、生活支援ロボットに関する基準作りの動きが経済産業省によって進められており、基準策定を見越した開発を進めていくことが求められる。

違いが分からない?私の責任ではないのでご勘弁いただきたい。

かなり詰めの甘い調査と言わざるを得ないと思う。これでは、漠然とした想像通りの違いしか分からないし、我が国としてどうすればよいかも分からない。

また、法律の分野で言えば、PL法による訴訟リスクが革新的機器開発の障害になっているという指摘は、事実とは思えない。もしそうだというなら、欧米におけるPL訴訟の実態を調査してほしい。

一方では弁護士は少ない、もっと増やせという声があり、他方では、ありもしない訴訟リスクを指摘する声がある。腹立たしいことである。

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