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2010年9月24日 (金)

ニュースを読む視点4

912日の讀賣新聞は、最高裁判所が「給費制を廃止すると富裕層しか法律家になれなくなる」と主張する日弁連に対し、その根拠を求める質問状を発したと報じた。
 この質問状の目的は、翌日明らかになる。民主党の法務部会が、最高裁の担当者らから意見を聞いた上で、給費制を存続させる方針を確認した、と報じられたのだ。
 918日の朝日新聞によれば、質問状は2通発せられている。その内容は質問というより、反論に近い。

 この質問状に対する弁護士の反応は、総じて良くない。司法改革問題に冷淡とお見受けしていた落合洋司弁護士でさえ、「自分の金を出すわけではなく、言われたとおりに動けばよいのに、なぜ、『困惑』するのかが理解できないですね。政策形成能力もないのに、なぜ、日弁連に質問状を出したりするのか、理解に苦しみます。国民の理解がどうのこうのということは、国会で検討すればよいことで、民主的基盤のない、官僚の集まりである裁判所は、この問題については単なるノイズでしかないので引っ込んでいろ、ということでしょう」とまあ、さんざんな評価である。

しかし、感情的な評価は、ニュースを読む視点としては、正しくないと思う。

このニュースのポイントは簡単である。それは、給費制存続に「最高裁判所が反対している」ということだ。それも、かなり強く反対している。最高裁判所とは、具体的には最高裁判所事務総局を指す。エリート裁判官の集団であり、権力組織としての裁判所を代表する部署だ。その部署が給費制の存続に強く反対している(質問状を2通も出して、しかもその事実と内容をマスコミに話している)からには、必ず何か理由がある。面倒くさいとか、もう受付が始まっちゃったしとかいう理由もあろうが、それだけならこんなに強く反対しないと思う。もちろん、その理由を受け入れるか否かは別問題だが、引っ込んでいろ、と罵声を浴びせる前に、その理由を冷静に考えるべきだ。

その理由については、私なりの意見もあるが、ここでは触れない。もう一つ、気がかりなことがあるからだ。それは、給費制存続に必要な裁判所法の改正に、裁判所自身が強く反対している、という事実である。実体法や手続法ではない、裁判所の組織法を、日弁連の圧力で、裁判所の反対を押し切って改正しようとしているのだ。これは、将来に怨念を残すよ。ピンとこないなら、こう想像したらよい。

日弁連が強く反対しているのに、弁護士法が改正される事態を。

そうなったときに泣きついても、最高裁は守ってくれないよ。

念のため付言するが、私は、最高裁が反対するから給費制運動をやめろ、と言っているわけではない。あらゆる反対を押し切ってでも、すべてを犠牲にしてでも、守るべき価値はある。私は、給費制維持の価値とコストとリスクの話をしているのだ。日弁連執行部は、このあたりの調査や根回しを事前にやっているのでしょうね?

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コメント

「実体法や手続法ではない、裁判所の組織法を、日弁連の圧力で、裁判所の反対を押し切って改正しようとしているのだ。」だとすれば問題ですね。
 しかし日弁連執行部はそうは認識していないでしょう。
 「修習は法曹三者のもの」と思っていると思いますから。

投稿: なしゅ@東京 | 2010年9月26日 (日) 00時55分

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