« 学会発表と外為法の技術移転規制について | トップページ | 弁護士廃業 »

2010年10月 7日 (木)

法務大臣 給費制 法曹人口

10月1日閣議後の柳田法相記者会見要旨が公開された。中に、「法曹養成制度に関する質疑」として、次のやりとりがある。

************************************************************************

Q:司法修習生の給費制の件について,貸与制の施行期日が迫っていることもありまして,各党動き始めており,昨日,自民党がヒアリングをして法務省に依頼をして,法務省の方では立法府にまかせるとの発言をされたということですが,大臣としての御所見をお伺いしたいのですが。

A:私も国会の動き等をいろいろ聞いています。国会の御要望があれば,それに従うつもりです。

Q:民主党はまだまとまっていないということなのですが,そこについては何か大臣としておありですか。

A:民主党も決まれば決まるでしょうし,他の各党も決まれば決まるでしょうし,国会がどういう意思表示をされるかだと思っています。

Q:期日まであまりない中なのですが,そこについては,法務省としてはやはり今までどおりでいきたいと思っていらっしゃるのでしょうか。

A:自民党,公明党が出した法案でしたけれども,民主党も賛成して成立した法律ですから,現在それを施行するしかないという立場です。ただ国会がしっかりとした意思表示をされれば,それに従うというところです。

************************************************************************

全体としては、「行政府は国会に従う」という、ごく当たり障りのないことを言っているだけだが、細部を見ると、「国会のご要望」→「国会がどういう意思表示をされるか」→「国会がしっかりとした意思表示」と微妙に言い回しが変わっているのがおもしろい。この点と、「自民党,公明党が出した法案でしたけれども,民主党も賛成して成立した法律ですから」という下りをあわせて読めば、法務省の意向はおぼろげに見えてくる。要は国会と政党に対して、一度議決したことの重みを問うているのだ。

ところで10月5日の読売新聞は、合同インタビューでの柳田法相の発言として、次のように報じた。

*********************************************************

政府が2002年に閣議決定した司法試験の合格者を「2010年頃には年間3000人程度とする」とした目標について「今は過渡期だが、遠くないうちに3000人は必要な数になっていく」と述べた。

*********************************************************

このインタビューは各新聞社合同のものだが、他紙は法曹人口問題に触れていない。したがってこの記事は、読売新聞自身の意図も反映していると思われるが、この点はさておき、柳田法相のこの発言は少なくとも、司法試験合格者数の減少という、宇都宮日弁連会長の要望に応じる気は全くない、という意思表明と読める。

問題はこの発言と給費制問題との関係だ。関係ないはずはないと思うが、この記事だけでは、柳田法相の意思を確定できない。論理的な可能性としては、

   給費制問題で(一度決まったことを施行前に撤回せよという)横車を押すなら、司法試験合格者数を増やすぞ、という日弁連執行部へのメッセージ

   給費制を復活させるなら、司法試験合格者数年3000人になることを前提に予算措置を講じてくださいよ、という国会へのメッセージ

   今後司法試験合格者数を増やすには、人材に集まってもらうために、給費制を復活させる必要がありますよ、という国会へのメッセージ

あたりが考えられるが、どうだろうか。

 私は、迷いつつも②に一票である。これが、「しっかりした意思表示」という言葉の中身ではないかと思う。ついでに言うと、給費制の問題が国家予算の問題であることが、日弁連では不当に軽んじられていると思う。

|

« 学会発表と外為法の技術移転規制について | トップページ | 弁護士廃業 »

コメント

はじめて書込みさせていただきます。

私は給費制の議論よりもむしろ、今後の増員をほのめかす
柳田法相の発言に驚きました。
ロー制度のもとでは、これ以上の増員はできないというのが、
ここ2年間の法務省の意思だと認識していましたので。

素人考えですが、法務省は制度変更を予定しているのかも
しれません。
受験資格を緩和(予備試験枠の拡大及び三振制の緩和)した上で、
増員するのなら、無くはないと思います。

投稿: 通りすがり | 2010年10月 7日 (木) 22時43分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/192469/49673275

この記事へのトラックバック一覧です: 法務大臣 給費制 法曹人口:

« 学会発表と外為法の技術移転規制について | トップページ | 弁護士廃業 »