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2011年2月17日 (木)

ドイツにおける法曹制度

日弁連委員会ニュース2月号に掲載された標記調査報告が興味深かったので、かいつまんでご紹介する。

ドイツには201011日現在、約153000人の弁護士がいるという。単純比較で日本の5倍以上だ。ドイツの人口は約8200万人だから、人口比で調整すれば、日本の7倍以上となる。司法試験の1次試験に合格した後、修習を受けて、2次試験に合格することで法曹資格を得られる。毎年80009000人で合格率は10%台半ば。合格者数も単純比較で日本の4倍以上だが、この後の競争が厳しい。

司法試験の成績トップは公証人になり、その他は裁判官、検察官、大企業・国・州の幹部や法律事務所に勤務するが、成績が悪ければ就職できず、毎年6000人程度が失業手当を受給し、その中でも1000人以上が1年以上就職先未定という。司法試験12次試験の成績が進路に大きく影響することから、この間、予備校に通うことが珍しくないそうだ。

まず89万人という、べらぼうな受験者数に驚く。私が司法試験を受けた20年前、受験生は約25000人だった。それが89万人、人口比で修正すれば12万人以上が司法試験を受験するということであれば、日本の法学部卒業生全員が司法試験を受験しても、おつりが来るだろう。

このうち80009000人が法曹資格を得るとのことだが、この受験者数と就業状況をみると、これらの「法曹資格」をわが国の「弁護士」と同視してよいとは思われない。出身大学に加え、「司法試験1次試験合格」「2次試験合格」で階層化され、「2次試験合格」組の中でさらに成績によって階層化され進路が決まる様子を見ると、ドイツにおける司法試験は、TOEIC等と同様、法学部等の出身者が就職に箔をつけるための資格に過ぎないというべきだろう。要は何点取ったかが重要、ということだ。

この記事で残念なのは、この8000人~9000人中、結局何人が、日本でいう弁護士として働くのか、よく分からないことだ。記事を素直に読む限り、このうち20003000人が、裁判官や検察官、大企業や国・州の幹部職員、そして法律事務所に就職するように読める。このうち「国・州の幹部職員」というのは、日本でいう国家公務員上級職に匹敵するのだろうから、この幹部職員を除いた残りが、日本で言う法曹にあたることになる。仮に、「国・州の幹部職員」が全体の半分と見るなら、法曹の数は毎年1000人~1500人となり、人口比を考慮しても、現在のわが国よりやや多い程度だ。残りが一般企業に就職するということなら、これらの者たちはドイツの「法曹資格」を有するにせよ、学歴的には日本の「著名大学法学部卒業生」と同レベルということになる。

いずれにせよ、「ドイツの弁護士数は日本の5倍以上」と単純に比較できる話でないことは確かなようだ。

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