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2011年2月17日 (木)

ドイツにおける法曹制度(2)

ドイツの法曹制度は、司法試験に沢山合格させるけれども、日本でいう法曹になるのは少数(1500人?/80009000人)で、残りは民間企業などに就職する。

これに対して日本は、ドイツに比べれば、司法試験に少なく合格させる代わりに、原則全員が法曹になる(1900人?/2000人)、という「運用」をしている。

この「運用」に対して、久保利英明弁護士や、青山善充教授などは、異議を述べている。久保利弁護士は、「法廷弁護士だけが弁護士ではない。企業、公務員、議員や首長、教育者、研究者その他に進出すべきである。弁護士間の競争は激しくなるべきだし、希望する職に就けない弁護士が出てもやむを得ない」旨述べる(The Lawyers 20111月号)。これらの意見は、日本かドイツかといえば、ドイツの法曹制度を指向している。

日本とドイツと、どちらが良いと、一概には言えない。もちろん、日本の弁護士増抑制論者からは、ドイツの制度など論外だろう。しかし、ドイツの司法が破綻しているかというと、そうではあるまい。ドイツ国民が日本に比べ、人権侵害に喘いでいるという話も聞かない。何となく、ドイツの方が「法の支配」が進んでいるような気さえする。

そうだとすれば、日本方式も、ドイツ方式も、政策としては、どちらかが絶対的に優れている、ということはない。だからこの問題は、どちらがわが国にふさわしいか、という視点を持たない限り、答えが出ない。

例えば、こういう視点を持つことはどうか。

戦後日本では、弁護士が裁判官・検察官と同列に引き上げられ、平等に実務研修を受けることになった。弁護士は、民間事業者であるのに、その志望者は公務員として給与を受けるという「特典」を授けられた。司法試験は最難関試験の一つとされ、合格者数も志願者に比べきわめて少数に抑えられたため、司法試験に合格すれば必ず職に就けた。弁護士は、法律事務独占を保障され、その利益を享受してきた。弁護士会は、世界屈指と言われる自治権と、強制加入団体性を保障されている。

要するに、戦後日本の弁護士は、ドイツに比べ、とても優遇されてきた。なぜ優遇されてきたのか、その根拠は何だろうか。もし、その根拠が失われたのであれば、優遇されなくて当然である。ドイツの法曹制度の方がふさわしいかもしれない。

逆に、現在もその根拠が失われていないとすれば、優遇されるべき政策的理由が存在することになる。

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