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2011年2月21日 (月)

「法の支配」ってなんだ?(2)

「法の支配」を実現するためには、「法」があるだけではダメで、権威ある裁判所の存在が不可欠だ。そして、この「法」は、議会制定法だけでなく、憲法や、正義の法(common law)も含む。それゆえ、「法の支配」を実現する裁判所は、法の解釈と適用において、あらゆる国家機関に優位する至高の存在とされる。古くは王より上に立ち、その後行政府より、さらに議会の上に立つ。優位に立つことは、他の国家機関に干渉されないことだから、「法の支配」と「司法の独立」は同義だ。佐藤幸司『憲法』には、「『法の支配』にあっては裁判所が格別の役割を担って」いるとある。佐藤幸司先生も、たまにはいいことを言う。

弁護士は、自分の頭がいいから、司法試験に受かったから、人は自分の言うことを聞く、と自惚れているが違う。人々が弁護士の言うことを聞くのは、「裁判をすれば弁護士の言ったとおりになる」と思うからだ。弁護士は、訴訟業務を独占しているので、「至高の存在」である裁判所の意向を知るには、弁護士にお伺いを立てるしかない。ここに弁護士の権威の源泉がある。たとえるなら、弁護士は裁判所の預言者であり、虎ならぬ「裁判所の威を借る狐」だ。

もっとも、ここにいう裁判所は、大阪地裁民事13部のような現実の裁判所ではない。現実の裁判所の平均値と、理想の裁判所の間にある、とでもいうべき、観念的な意味の裁判所である。

以上から導かれる結論はこうだ。

まず、弁護士の権威は、司法の独立という憲法原理に由来する。だからこそ弁護士は、行政に対して法に従えと要求することもあるし、法律の方が間違いだと主張することさえある。この点が弁護士と、他の法律実務家との違いだ。

また、裁判所の権威の及ばないところに「法の支配」はない。弁護士が増えても、裁判所の権威が及ばない場所には、「法の支配」は広がらない。

だから、「弁護士は増えれば法の支配が及ぶ」という考えは間違いだ。「法の支配」を及ぼすためには、裁判所の権威が及ぶためにはどうしたらよいか、考えなければならない。

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