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2011年3月22日 (火)

東京電力は電気供給契約違反による損害賠償責任を負うか?

 東京電力と、首都圏住民・事業者との間には、継続的な電気供給契約が存在する。
 東京電力は、電気供給事業を独占することの結果として、契約上、継続的な電気供給債務を負うと解される。
 ところが、今般の「計画停電」によって、東京電力はその債務の一部について履行を拒絶した。
 東京電力は、契約違反による損害賠償責任を負うのだろうか。

 と思っていたら、すでに東京電力の「電気供給約款」を分析し、責任を負うと結論づけている企業法務マンがいらした。

 今回の供給停止は、「電気供給約款」40条(1)のニに規定する「非常変災」を理由とするものだ。これにより受給者が被った損害に関して42条は、「当社の責めとならない理由によるものであるときには、当社は、お客さまの受けた損害について賠償の責めを負いません。」と規定している。これは、民法の一般的な債務不履行責任とほぼ同じだが、文言上、「当社の責め」の立証責任が、受給者側ではなく、東京電力側にあると解される。これは受給者側に有利だ。いずれにせよ、東京電力が損害賠償責任を負うには、単に債務不履行があるだけでは足りず、東京電力の「責め」によることが必要だ。

 ところで、今般の計画停電は、福島第一原発の継続的な操業不能によるものだろう。そうだとすると、東京電力に電気供給債務履行不能の「責め」があるか否かは、福島第一原発の継続的な操業不能の「責め」が東京電力にあるか否かにかかっている。そしてこの「責め」の有無は、原発の基本設計図書から今回の「暴走」への対応までの、あらゆる証拠を見なければ、判断できない。つまり、東京電力が適正な賠償金の支払いを拒否し、これら資料の開示を拒否した場合には、訴訟で解決するしかない。
 ちなみに「適正な賠償金」額は、契約者数が仮に1千万人・社いると仮定すると、停電で好きなテレビ番組が見られなかった慰謝料から、停電による売上低下まで、平均一人または一社10万円とすれば、総額一兆円になる。貼用印紙額も10億円を超える。

 この訴訟は、原告数においても、かつてない規模に達する。私がかつて、会員3万人のゴルフ場の倒産事件に関わったときは、当時最高性能の市販のパソコンで対応できたが、今回はそうはいかない。東京の弁護士は、未曾有の原告数を念頭に置いた訴訟準備を始める必要がある。

 誰からも依頼はないって?それを「灯台もと暗し」という。本件では、首都圏に住む弁護士の大半に当事者適格がある。弁護士が本人訴訟を起こせば、数百万人の首都圏住民がその後に続くだろう。そうなれば、弁護士費用は一人千円で足りる。

 東京電力側は、お見舞い金の支払いで訴訟を回避しようとするだろう。しかし弁護士は、これに応じてはいけない。大規模停電の責任の有無と程度を、法律に従って解決することこそ、「法の支配」であり、国家が弁護士に付託したことに他ならないのだ。

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