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2011年3月28日 (月)

『パッセンジャーズ』(ネタバレ)と大震災

Passengers 

 美人セラピストのクレア(アン・ハサウェイ)は、飛行機事故から生き残った乗客5人のセラピーを任される。しかし、証券マンのエリック(パトリック・ウィルソン)は、異常にハイテンションで、クレアを口説きだす始末。他の生存者の証言も食い違い、一人、また一人と失踪していく。真相を求めるクレアは、最後に、自分も飛行機の乗客であったことを知る。機内でエリックに出会ったクレアは互いに一目惚れ。しかし、恋の予感にときめくクレアの前で、エンジンが火を噴いた…。

前田有一氏は、なぜだろうか、見終わったあとに、せつない幸福感を与えられる評した

これは死者を悼むお話ではない。遺された者を癒やすお話だ。

 人が死者を悼むのは、正確には、死者のためではない。死に傷ついた心を癒やし、自分を取り戻すためには、死後の幸福を祈り信じるための儀式が必要なのだ。

 飛行機の残骸から、二人の遺体が発見された。何の接点もないはずの若い男女は、しかし、しっかりと手を握りあっていた。遺された者は、二人の恋が天国で成就することを祈る。そう祈ることができなければ、遺された者の心は、永遠に苛まれるだろう。

 いま日本では、膨大な死が、悼まれずに処理されている。一つの死は数百分の一、数千分の一として扱われ、遺体の多くは見つからず、見つかっても花で飾られることなく埋められている。死者を悼むことができなかった喪失感は、多くの人々の心を深く傷つけ、自殺や社会不安の増加をもたらすだろう。昔の人は、これを祟りと呼んだ。

 おそらく宮室は、被災地行幸のスケジュール調整と体調管理を始めているだろうが、現地はまだ危険で、範囲が広すぎる。願わくば、『パッセンジャーズ』のような物語が、死者を悼み、ご遺族の心の傷を癒やさんことを。

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