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2011年3月 1日 (火)

企業内弁護士は増えるのか?

「『企業内弁護士』企業二の足」という見出しで、企業内弁護士に対するニーズは低調と報じた日経新聞に対して、元「法律新聞」編集長氏が、「今後、大量増員時代の弁護士が、報酬(中略)のハードルをぐっと下げてくれば」増えるのではないか、と予測しておられる。

そうかなあ。この前提に無理があるような気がする。今後、企業内弁護士の報酬のハードルはぐっと下がるだろうか。

弁護士が組織に雇用される場合の報酬をシミュレートするため、4大卒新人と比較してみよう。法曹養成制度の現状を前提にして、新人弁護士は22歳の大卒より平均7歳年長とする。法科大学院の学費として平均約400万円を投じている。司法修習が貸与制になれば、300万円の借金が加わる。そして、年50万円~100万円の弁護士会費を支払う義務がある(もっとも、新人弁護士の場合は、当初23年は半額程度に減額される場合もある)。

これらの相違点を考えた場合、新人弁護士が、企業に就職するとき、同期入社の4大卒新人と比べ、年収でどの程度の待遇差を設けたら公平だろうか。

投下資本700万円を10年で回収し、会費月額約4万円を企業側が負担すると仮定しただけで、月収(手取)で10万円の差となる。また、7歳の年齢差を勘案すると、60歳定年と仮定した場合、企業内弁護士の給与を1.23倍しないと、生涯給与が釣り合わない。すなわち、4大卒新人(22歳)の月給を30万円とすると、同期入社の弁護士(29歳)の月給は4730×1.2310)万円必要という計算になる。

弁護士に言わせれば、この待遇でも不満だ。なぜなら、彼らは司法試験というリスクを取ってきたわけだし、終身雇用が保障されないなら、投下資本を早期に回収する必要があるからだ。

一方、企業内弁護士を採用する側からみればどうなるか。司法研修所を卒業したばかりの平均29歳の弁護士に、4大卒新人の1.5倍を超える47万円の月給を支払う価値があるだろうか。あるいは、入社7年目の中堅社員を上回る給料を支払う価値があるだろうか。普通に考えて、ないだろう。

つまり、現行の法科大学院制度、司法研修制度、そして高額の弁護士会費を前提にする限り、企業内弁護士に関する弁護士と企業の要求は大きく解離している。

もちろん、以上は抽象的な一般論であり、現実はもっと複雑だ。弁護士側には、当面の待遇は4大卒新人同期以下でも構わない、入社後に実力を発揮してキャリアアップすればよい、と考える野心家もいるだろうし、採算度外視で企業内弁護士を極めたいという志のある弁護士もいよう。企業側から見ても、はじめは分不相応の高給でも、数年育てれば採算が合う人材がいるだろうし、はじめから採算が十分取れるほど、ニーズの高い企業もあるだろう。現に近年の企業内弁護士数の伸び率は著しいし、優秀な企業内弁護士がたくさんおられる。

だが、大所高所から見た場合、弁護士と企業との経済的なミスマッチの大きさは、いかんともしがたい。上記の前提条件が維持される限り、企業内弁護士数は、おそらく数年で飽和するだろう。いいかえれば、法科大学院と、司法研修所と、高額の弁護士会費をそろって廃止すれば、企業内弁護士は大きく普及することになろう。

企業内弁護士を増やすには、弁護士の意識改革が必要、という主張があるが間違いだと思う。この問題は根性論では解決しない。経済的合理性の問題だからである。

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コメント

しかし、ロースクールと司法研修所の両方を廃止するのは無理があるでしょう。法曹養成機関は必要、となれば、アメリカ型のロースクールか欧州型の司法研修所のどちらかは選択せざるを得ない。
両方存在する現在はかなり変則的な形ではありますが。

投稿: sate | 2011年3月 2日 (水) 02時27分

学費の回収の問題はさておき、年50万円~100万円の弁護士会費を所与の前提としてはいけないように思います。会費を負担する人数は増え続けているし、多様な弁護士のあり方を可能にするためには、会費は多くとも1人月額1万円程度でよいのではないでしょうか?弁護士会は、その範囲でまかなえるだけの活動、つまりは懲戒審査中心の活動に縮減していけばよいのではないかと思います。登録10年目の私の実感としては、私より若い世代の弁護士の間では、今の弁護士会の有り様と会費の金額を考えて、額に見合うだけの価値があると考えている人は、もしかしたらかなり少数派ではないかと。。

投稿: まめしば | 2011年3月 3日 (木) 00時21分

1年目は手取270万、2年目以降は400万ぐらいあれば定年までずっとその給与でやりたい。
事情があって家から動けないから、しかたなく即独してるけど。

投稿: 即独 | 2011年9月 7日 (水) 18時09分

会費月1万円

行政書士会は月6000円なので、それぐらいならいいでしょう。
もっといえば、法務省か最高裁に監督してほしい。

投稿: 即独 | 2011年9月 7日 (水) 18時11分

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