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2011年3月 2日 (水)

「題号」と「哀号」

「題号」とは、書物などの題名のことである。書物は一般に、著作権法上の著作物にあたるが、例えば「星の王子さま」という題号は、著作物にあたるだろうか。

「星の王子さま」の原典”Le Petit Prince”の著作権が20051月に切れたため、わが国では、岩波書店以外の出版社が続々と翻訳書を出版した。ところが、その多くが「星の王子さま」という題号を用いたため、元祖「星の王子さま」の翻訳者故内藤濯氏の遺族が、抗議したらしい(田附行政書士のブログより)。

著作権法の教科書によると、題号は通常、著作物として保護されないようだ。但しこれは法律の条文に明記されているわけではなく、そう解釈されているにすぎない。

著作権法上、著作者は原則として、自分の著作物の題号を勝手に改変されない権利を有する(同一性保持権。20条)。上記解釈に従うと、著作者は題号について、著作者人格権の一つである同一性保持権は有するが、著作権は有しないことになる。なんか変だなあ。原題”Le Petit Prince”と比較しても、「星の王子さま」は独創性のある、すてきな題名だと思う。

ところで韓国では、サン=テグジュペリ遺族財団から、その題名は商標登録されているから無断使用してはならない、との警告を受け、書店から「星の王子さま」が消えたと報じられた(2008414日朝鮮日報。ただ、韓国における題名が何かは分からない)。出版社の悲鳴が聞こえるようだ。この報道によると、韓国では、2015年まで商標登録されているという。

なぜ同じことが日本で起きなかったのか。それは、「特許庁の実務では、単行本の題名には原則として商標登録を否定するという方針を採っている」からだ(社団法人著作権情報センターのHPより)。

だが、商標法上、商標の定義は、「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの」(211号)だ。本の題名が商標に該当しないとは考えられない。これも、なんだか変だと思う。

ちなみに、楽曲のタイトルは、書籍と同じく著作物ではないとされているが、書籍と異なり、商標登録は認められている。変なの。

著作権法や商標法に限ったことではないが、日本では、法律の条文と運用が違うことが多い。これも、その例であろう。

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