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2011年4月15日 (金)

グーグルストリートビューの判決2例

 317日の毎日新聞朝刊によると、福岡市の20代の女性がグーグル社を相手取り、ベランダに干していた下着の画像を公開されたとして60万円の慰謝料を求めた裁判で、福岡地方裁判所(松永栄治裁判官)は16日、女性の請求を棄却したとのこと。

 「判決は、『ベランダに洗濯物らしきものがかけてあることは判別できるが、それが何かまでは判別できない』と指摘し、『当時は公道の通行者が見ることができた。ネットへの掲載は、原告にとって受忍すべき限度の範囲内』と判断した」とある。

 「受忍限度」とはやや聞き慣れない言葉だが、要するに、社会生活上お互い様と我慢すべき範囲、という意味である。なお、川村哲治弁護士のブログに、より詳細な引用がある。

 46日付けのswissinfo.chによると、スイス行政裁判所は4日、連邦情報保護・透明性維持担当課のハンスペーター・デュール氏が要求していた個人情報保護対策の大部分を認めた。これによりグーグル社は、人の顔や車両のナンバーを完全に認識できないようにするための手作業修正を行う義務を負った(もっともこの記事時点でグーグル社は上訴を検討しており、上級裁判所で覆る可能性もある)。現在自動的にぼかしが入っている顔は全体の98%とのことである。

 二つの判決は事案が違うから、内容の当否を直ちに比較することはできない。比較できる違いは第一に、スイスには行政裁判所があり、日本にはない、ということである。第二に、日本では、20代の女性が自ら原告となって自分の権利を主張したのに対して、スイスでは行政官が原告となって民間企業を提訴した、という点である。もちろん日本女性は弁護士費用を含め全部自費で訴訟を提起しているのに対し、スイスの行政官は公費で訴訟を提起したのだ。

 これらの違いは、国民の権利を守る仕組みの違いだ。もちろん、この判決だけでは、どちらの仕組みが優れているとは言えない。ただ、三権分立と司法の役割という視点で見る限り、スイスの制度の方が優れているように思われる。

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