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2011年4月14日 (木)

『武器輸出三原則』(2011年 信山社 森本正崇著)

 

 

武器輸出三原則関する驚くべき体系書41kagvdttl__sl500_aa300_

 第一に、本書は、45年間、日本政治の重要問題であり続けた「武器輸出三原則」を体系的に論じた、なんと最初の書物である。
 第二に、著者は、東大法学部出身のキャリア官僚として、かつて防衛庁と経済産業省に在籍した身でありながら、武器輸出三原則に関する国会議員の質問や政府答弁を、歯に衣着せず批判する。
 第三に、400頁を超えるハードカバーの大著でありながら、とても読みやすい。本書を読まずに武器輸出三原則を論じることは、今後許されないだろう。

 武器輸出三原則という「王様は裸」ではないのか。と著者は問う。武器輸出三原則は、ときに「国是」とも、「平和憲法上当然」とも言われてきた。しかしその実体は、外為法による輸出管理の運用方針に過ぎない。武器だろうが何だろうが、日本国民は憲法上の基本的人権として輸出の自由を有するし、武器に関連する研究も学問の自由として憲法上保障されているから、武器輸出三原則も、法律に基づく、必要最小限度の規制であることを免れない。ところが、人権人権と言いつのる歴代の国会議員も、法学者も、時として政府さえ、武器輸出三原則を不磨の大典のように扱ってその根拠内容を批判的に検討しない。そこには「武器輸出をしないことは『いいこと』だという暗黙の前提があり、そのために健全な知的思考が停止しているのではないか」と著者は批判する。仮にも人権を標榜する弁護士の一員として、恥ずかしい限りである。

 裸にされた武器輸出三原則を批判的に検討することは、外為法の抱える様々な法的問題点をあぶり出すことになろう。それは、日本が戦前以来温存してきた統治機構の問題点をえぐり出すことにつながると、私は思う。「武器や武器輸出と言うだけで冷静な議論ができなくなってしまうような状態からは脱却し、冷静な議論を育める社会に日本も成熟」していることを、著者とともに望みたい。

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