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2011年4月20日 (水)

輸出「後」規制と法治主義2

 外国企業に機械を輸出するにあたり、その機械が転売されたり当初の目的と違う用途に使用されたりしていないか、輸出後半年おきに調査して報告するよう、経産省に命じられることがある。

 これは法律の根拠なき義務づけだから法治主義に反すると、先日のエントリに記載したところ、「外為法67条に基づく条件だから法治主義には反しないのではないか」という指摘を受けた。

 外為法671項は、「(経産相は)この法律又はこの法律の規定に基づく命令の規定による許可又は承認に条件を付し、及びこれを変更することができる」と定めており、これに違反すると10万円以下の過料に処せられる(732項)。

 もちろん、671項があるからといって、何を条件にしても良い、というわけではない。万一「経産省担当官の靴をなめる」という条件が付いても無効だ。671項は本質的に、「当該輸出に関する条件」であることを前提としているから、これと無関係な条件は、そもそも671項の範囲外である。つまり、法律の根拠がない、ということになる。

 ちなみに、672項には、「(1項の条件)は、同項の許可又は承認に係る事項の確実な実施を図るため必要最小限のものでなければならない」と規定している。だから、「経産省担当官の靴をなめる」という条件は2項違反という考えもありうる。だが私は、当該貨物の輸出と無関係な条件は、そもそも2項の問題でさえないと思う。

 冒頭の「輸出『後』規制」はどうだろうか。どこからが輸出「後」か、という実務上微妙な問題はあるが、少なくとも、誰が見ても輸出が終わった後、つまり、引き渡しも設置も検収も代金支払いも試運転も済んだ後は、もう「輸出」は完遂されて無くなっているのであり、その後にまで輸出企業に調査報告義務を課すのは、そもそも671項が予定していない範囲だと考える。「それはExport Controlではない。Post-Export Controlだ。わが国ではPost-Export Controlは行っていない」というドイツ人の感覚が正しい。だから、「輸出『後』規制」は、法律の根拠がない規制であって、法治主義に反し、違法だと考える。「法律の根拠があるけど裁量の範囲を超えて違法」ではないのだ。

 輸出した機械が兵器製造に転用されたらどうするのだ、という反論があろう。だが、国際平和の維持は政府が政府の費用を使って行うべきものであって、民間企業に義務づけて行うことは許されない。外為法は、国際平和維持活動を民間企業に義務づける法律ではないはずだ。

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