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2011年4月12日 (火)

葬られた原子力災害ロボット

先日のエントリ「原子炉事故用ロボットはベクレル羊の夢を見るか?」と大分重複するが、411日の日本経済新聞が標記の見出しで取り上げたので、再度書いておきたい。

記事によると、原子力災害用ロボットは放射線から誤作動を守る特殊なLSIが必要なため高コストになるところ、2000年に経済産業省が30億円を投じて災害対応ロボットを試作させたが、「原子力災害ロボットが必要になる事態は日本では起きないから必要ない」との理由で打ち切りになった。他方、核戦争に備える欧米では耐放射線機能を備えた軍事用ロボットが数多く作られており、フランスには耐放射線用LSI専用工場まであるという。

2点指摘しておきたい。

1点目は、「原子力災害ロボットが必要になる事態は日本では起きない」という認識の馬鹿さ加減はさておくとして、仮にそうだとしても、火事・地震や水害の際の遠隔操作ロボット開発の必要性は誰も否定できなかったはずであり、それさえロクになされていなかった事実は、原発災害に対する想像力の欠如というより、「国プロ」と「国家政策」が全く連動していないという制度上の問題があること、いいかえれば、科学振興予算がもっぱら、余った金を科学者の趣味に消費するために使われてきたことを推測させる、ということだ。

2点目は、(原発)災害用ロボットは軍事用ロボットと極めて親和性が高い、ということだ。だから、今のような厳しい軍事技術の交流規制を敷いたままでは、日本の災害用ロボット開発は、永久に先進国に追いつけないから、はじめから諦めて輸入した方が、国家財政的には合理的だ、ということになる。マスコミは今回の地震で全く役に立たなかった日本のロボット科学者を批判するけれども、おそらく世界でも最高レベルに厳しい軍事技術の輸出規制に縛られている日本の科学者に、有用な災害用ロボットを開発しろと要求するのは、手足を縛って泳げと言うことに等しいと認識すべきだろう。

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コメント

小林様
今堀でございます。再び、お邪魔して恐縮です。

ロボット関連の国プロにおけるテーマ選定については、その時々の行政担当官を“とりまく人たち”によりねじ曲げられているフシがあるように感じられます。
2013年度まで取り組まれる「生活支援ロボット」は、安全規格がないから上市できないと、言い訳をする輩の意見を聞いた結果ですし・・・。
(このプロジェクトは、「生活支援ロボットという新規分野において安全規格と認証制度、認証にかかる試験システムをセットで構築してしまえば、TUVなどの世界的な認証機関もすぐには対応できない。結果、先行者利益が得られるだろう」との意図も絡んでいるため、紛らわしいのですが。そもそも市場がなければ認証システムは機能しないのですけど・・・)

とはいえ、
国プロに関しては現在、経産省内には過去十数年間で「おもちゃ」しかできなかったという反省があります。

また、先々月に自民党のある議員が搭乗型二足歩行ロボ、つまりガンダムプロジェクトをマニフェストに盛り込むということで話題になりましたが、彼ら若手議員の真意は、整地歩行しかできないヒューマノイド(産総研のHRP)ではなく被災地のような不整地でもバシバシ歩行できる基礎技術を今一度構築すべき。そのコア技術の1つとしてパワー増幅とオートバランスの組み合わせが適しており、それを開発すべきでなのでは、ということにあります。ガンダムはわかりやすい言葉として使っただけで、彼らなりに国民のためになる基礎技術とは何ぞや?ときちんと考えています。

少なくとも、彼ら自身にも国プロで、基礎技術としてヒューマノイド開発し、その出口として女性型エンタメロボットというのはあり得ないと捉えており、また、上述の担当官の認識もあり、国益や国民の幸せにつながる、あるべき方向性へとシフトすると期待しています。

ただ、日経さんの記事で腑に落ちないのは、耐放射線対策はJAXAをはじめ人工衛星を開発する企業がすでに有しており、彼らが利用する要素技術や開発技術などを拝借し、かつ共用すればコストを抑えられるはずで、こうした議論は当然のようになされていると推測されます。単に、原発とロボットは経産省だから、宇宙開発は文科省だからという縦割り行政の弊害により有機的な連携がなされず、霧散したような気がしてならないです。先週、千葉工大が原発仕様にしたレスキューロボは、JAXAの助言を受けて放射線対策をしたことを踏まえますと。う~む。

投稿: 今堀 | 2011年4月12日 (火) 18時01分

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