« 輸出「後」規制と法治主義2 | トップページ | 『iPhone』や3G対応の『iPad』は、過去10ヵ月にわたるユーザーの居場所を密かにすべて記録している。 »

2011年4月21日 (木)

日米ロボット比較

「米ソ宇宙開発競争の時代、宇宙ではインクが落ちずボールペンが使えないことが分かった。そこでNASAは、莫大な費用をかけ、無重力でも使えるボールペンを開発した。ソ連は?鉛筆を使った」

 日本のロボット研究者が地団駄踏むのを尻目に、米アイロボット社の軍用ロボットPackbotが、福島第一原発建屋内部の調査に投入された。対する日本はQuinceがまだ試作段階で、2001年の同時多発テロでも活躍したというPackbotに比べると10年以上水をあけられている。

 Packbot本体の見かけは、「事務机の引出の両側にキャタピラが付いた」というものだ。両キャタピラの前駆動輪にはもう一組、三角形のキャタピラが付いていて、階段や悪路の走行を可能にしている。そして「引出」と表現したのは、文字通り中が空っぽだからであり、この空間にセンサーやマジックハンドなど、様々なユニットを搭載できる。たとえるなら、「地上走行する小型のサンダーバード2号」だ。もっとも、ユニットを置いて帰ることができるかどうかは知らない。

 800メートル離れたところから、無線で操作できる。プレイステーションのゲームコントローラーで操縦できるというから驚きだ。

 さて問題は、なぜ日本のロボットがこの引出野郎に負けたのか、という点だ。私は実物を見たわけでも中身を見たわけでもないが、Packbotが採用する機能は、さほど高度ではなく、日本企業にも簡単に実装できるものばかりだと予想する。Packbotが優れているのは、おそらく個々の機能ゆえではない。

 すなわち、軍用ロボットであることからして、多少の攻撃では壊れない堅牢性と、モジュール化による修理の容易さ、前線兵士程度の学力レベルでも全く問題ない取り回しの良さや、インターフェースの作り込み、ユニット着脱の簡便さ、といったものが挙げられるだろう。おそらく、一台のPackbotの背後には、膨大な数の搭載ユニットと、モジュール化された部品と消耗品が存在するはずであり、これらは適切に整理されて、プラモデルを製作した程度の経験値があれば、容易に着脱できるよう、設計・製造されている。また、ゲームコントローラーで操縦できることは、兵士の訓練期間を大幅に短くしているだろう。

 「こんなのすぐに追いつける」と思うなかれ。日本人には、この種の設計が不得意だと思う。例えばゼロ戦は、極めて高性能だったが、高度な製造技術を要し、熟練パイロットでなければ性能を引き出せなかった。そのくせ防弾装備がお粗末だったため熟練パイロットが失われ、空襲で製造技術が低下すると粗悪品が増え、性能も落ちた。これに対して米国製戦闘機は、大量生産に耐える単純な構造で、強固な防弾装備がパイロットを守り(撃墜されてもパイロットは回収可能)、最後はゼロ戦を打ち負かした。

 この差は技術の差ではなく、たとえば思想の差だと思う。日本のロボットの将来は多難かもしれない。

 それから、このロボットはもともと軍用だが、修理や救援のため海外に持ち出すときには、武器輸出三原則に引っかかるのだろうか。

O0440028311123831724

|

« 輸出「後」規制と法治主義2 | トップページ | 『iPhone』や3G対応の『iPad』は、過去10ヵ月にわたるユーザーの居場所を密かにすべて記録している。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/192469/51443438

この記事へのトラックバック一覧です: 日米ロボット比較:

« 輸出「後」規制と法治主義2 | トップページ | 『iPhone』や3G対応の『iPad』は、過去10ヵ月にわたるユーザーの居場所を密かにすべて記録している。 »