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2011年4月27日 (水)

「武器輸出三原則は、憲法違反である」との見解について論じなさい。

武器輸出三原則とは、大要、武器については紛争地域等への輸出を認めず、他地域への輸出を「慎む」ことを主たる内容とする、日本政府の見解である。

これが憲法に違反するという議論が成立するためには、まず、憲法上武器輸出の自由が保障されていることが前提となる。この点については、「武器」と「武器以外」の工業製品との峻別が現実に困難である点はさておくとしても、工業製品を輸出する自由が憲法22条により保障されていると解する以上、工業製品の一種である武器を例外とする憲法上の根拠は見いだしがたい。すなわち、武器輸出の自由は憲法上保障されており、これに対する規制は必要最小限のものしか許されない。もっとも、我が憲法が平和主義(前文、9条等)を宣言していることから、武器について、他の工業製品より厳しい輸出規制制度を設けることは許されうるのであって、この区別が合理的かつ必要最小限のものである限り、平等原則(14条)違反の問題は生じないと考える。

ところで、工業製品の輸出規制は外為法に基づいて実施されており、武器輸出三原則は外為法適用にあたっての基準として運用されている。しかし、武器輸出三原則は、政府見解に過ぎず、法律でないにもかかわらず、輸出品目が武器であることをもって、一般工業製品より厳しい輸出規制を課している。法律の根拠を欠く基本的人権の制限は許されない、という立憲主義及び「法律による行政」の原理に照らせば、政府見解のみをもって他の工業製品より厳しい制限を課すことは、憲法41条に違反すると考える。

さらに、憲法上の人権保障は、適切な司法救済が可能でなければ画餅に帰す(憲法31条)ところ、武器輸出三原則は、武器認定や適用基準すら法定されていないから、国民に対する不意打ちとなる危険が高く、不当な制限に対する司法救済も困難なので、憲法31条にも違反すると考える。

以上に述べた意味において、設問の見解は妥当と考える。これに対する反論としては、「武器輸出三原則は平和憲法に由来する国是である」というものもあるが、国際政治の現状に照らせば、武器輸出は平和主義と両立しうる政策であるし、憲法原理であるとしても直ちに国民を直接拘束するものではないから、この反論に与することはできない。

―とまあ、最後の段落以外は司法試験の答案風に書いてみたが、100点満点でせいぜい70点というところか。それから、憲法の答案では軽々に「違憲判決」を書かない方が良いというのが基本なので、受験生は留意されたい。

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