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2011年5月30日 (月)

視野の狭い日本人の織りなす悲劇? 『沈まぬ太陽』(DVD) ネタバレあり

象徴的なのは、龍崎一清(モデルは瀬島龍三)が日航会長を靖国神社に呼び出し、更迭を告げる場面だ。

「お国のため」に辞めろと迫る龍崎に対し、会長は「御巣鷹山の犠牲者のため留まる」と反論する。超巨大企業のトップの発言としては、いかにも視野が狭い。これでは再建を任せられないと判断されてもやむを得ない。

他方、「お国とは誰か」と反論された龍崎にも答えがない。靖国に祀られた250万柱だというなら、御巣鷹山と死者数が違うだけだと思う。

出世の次の階段しか見えない行天(三浦友和)、利権や既得権のことしか考えない日航取締役や政治家・官僚は言うに及ばず、彼らが引き立てるはずの、渡辺謙演じる主人公も同類だ。東大法学部卒のエリートとして、労働組合委員長、海外僻地担当、事故遺族への対応係と、任務に全力を尽くし、成果を出して人望を集めるが、所詮、目の前の仕事しか見えない。こうしてすべての登場人物が、それぞれの狭い視界の中で全力を尽くしつつ、全体としては悲劇―例えば日航の倒産―に向かっていく、そういう話に、私は思えた。

原作未読だし、ひねくれた見方をしているかもしれない。映画製作後の日航の倒産が、製作意図と別の解釈を呼ぶのかもしれない。だが、題名となった「沈まぬ太陽」、すなわちアフリカの悠久の大地に輝く不動の夕日に憧れ、自らの無力を諦める主人公の独白は、私の解釈を裏付けているし、そうでなければ、「なぜ主人公はナイロビに左遷されて安息を得るのか?」というラストへの疑問を説明できないと思う。

ところで、数日前お目にかかった日航もとCAによれば、一昨年までの日航は『沈まぬ太陽』を社員必読書と推薦していたそうだ。『こん日』を会員必読書と推薦しない誰かさんに比べると、倒産した日航の方が、度量が広いなあ。

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