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2011年5月11日 (水)

中部電力役員は、株主代表訴訟に耐えられるか

菅首相による浜岡原発運転停止要請に対し、代表訴訟リスクを理由に判断を留保した中部電力役員は、最終的には「内閣総理大臣からの要請は、極めて重いと受け止め」て、停止要請に応じることとした。

各報道を前提とする限り、中部電力役員は、株主代表訴訟リスクは十分考慮したうえで、首相の要請であることは免責事由になると判断したことになる。

そうだろうか。

コンプライアンスの分野で有名なダスキン事件の大阪高裁判決がある。「ミスタードーナツ」で提供していた中国製肉まんに、無認可添加物が使用されていることを知ったダスキンは、この事実を公表するかどうかを取締役会で検討した。このとき、当時の社長や会長が「全部食べられちゃったし、健康被害が出ていないのだから、いまさら公表しなくてもいいんじゃないの?」と判断したため、他の取締役も「会長社長がそうおっしゃるなら」と、これを追認した(註;発言部分は推測)。この追認は「経営判断」であるから株主代表訴訟上の責任を負わないという主張に対し、大阪高裁は、「あいまいで、成り行き任せの方針を、手続的にも曖昧なままに…承認したのである。それは、とうてい『経営判断』というに値しない」と厳しく断罪した。

「会長社長がそうおっしゃるなら」が違法なら、いわんや「首相がそうおっしゃるなら」においてをや。ダスキン役員の、いかにも日本的な、ありがちな意思決定を断罪した大阪高裁の裁判官なら、今回の中部電力役員の判断は、当然断罪するだろう。首相といえども経営責任を負わない赤の他人にすぎない。主要施設の操業停止について、赤の他人の判断を優先させるなら、役員報酬をもらう理由はない。

中部電力の役員が代表訴訟リスクを免れるためには、こう言わなければならなかったと思う。「首相の要請を受け、独自に検討した結果、予想される地震の確率や規模に照らし、浜岡原発の安全対策は十分でないと判断した」と。この「首相の要請」のところは、別に「首相」でなくてよい。王様は裸と言った少年でもよい。大事なことは、自分の頭で考え直したということと、その結果、以前の「100%安全」との主張は撤回する、と明言することだった。

中部電力の発言は、政府に貸しを作る意図だったのかもしれないが、株主代表訴訟リスクという意味では禍根を残した、というのが私の考えである。

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