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2011年6月16日 (木)

ガンダムの「ハロ」と『攻殻機動隊』を地でいくお話(2)

防衛省が開発中の「球形飛行体」が完成したとき、これを外国に輸出するには、どのような法律上の問題があるだろう。

「球形飛行体」は「航空機」にあたる。外為法をみると、航空機に対する輸出規制は、次のとおりだ。

1.   「軍用航空機」に対する輸出規制(輸出貿易管理令別表第11の(9))

2.   「軍用航空機」でない「無人航空機」に対する輸出規制(上記別表第14の(12))

3.   2の「無人航空機」でない「無人航空機」に対する輸出規制(上記別表第113の(4))

4.   以上のいずれでもない「航空機」に対する輸出規制(上記別表第116

見ただけでウンザリだが、気を取り直して順番に見ていこう。

1の規制は、武器輸出規制だ。この条項に該当する場合、「武器輸出三原則」の適用を受ける可能性が出てくる。そうなると、輸出が許可される見込みはほぼない。

そこで問題は、「球形飛行体」が「軍用航空機」に当たるかである。カメラだけを積んだ偵察用、つまり、攻撃用兵器でないものも、「軍用」に当たるのだろうか。

法律上、「軍用」の定義規定はないようだ。だが、防衛省が開発し、自衛隊が偵察用に使用する用途であれば、「軍用」に該当するとみて間違いないだろう。自衛隊は憲法解釈上『軍』ではないから本件飛行体は『自衛隊用』ではあっても『軍用』ではないというアホな解釈論はこの際無視する。

攻撃用ではない、ということは、「軍用」を否定する理由にはならないのだ。

かつて、PKOのため国外に持ち出す対人地雷除去機に武器輸出三原則が適用されるか議論されたことがあった。このときは官房長官談話で、同原則が適用されないこととなった(この経緯は武器輸出三原則森本に詳しい)。

その結果、現在の経産省の「解釈」では、輸出貿易管理令別表第11の(9)の「軍用車両」から、「対人地雷除去機を除く」とされている。

この経産省の「解釈」によれば、それ自体は防御専用品である対人地雷除去機でさえ、「軍用車両」にあたることを前提とし、政治的配慮に基づき、同条項の適用対象から「除く」ことになる。

「攻殻機動隊」つながりで話は飛ぶが、「公安9課」は内務省直属の諜報組織であって「軍」ではない。では「公安9課」が使用する武器は「軍用」でないかと言えば、そうではなかろう。おそらく、「軍用」か否かは、「攻撃用・非攻撃用を問わず、その客観的性能または使用目的に照らし、主として現代における組織的戦闘の用に供されるか否か」といった基準で分別されるのではないだろうか。

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コメント

 タイトルに釣られて読みました。例えると、空想科学読本の法学版という印象で大変面白かったです。少し法律にも興味が出ました。

投稿: 中退 | 2011年6月17日 (金) 04時27分

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