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2011年6月 9日 (木)

佐藤幸治教授に足りないもの

67日朝日新聞の特集「身近な司法へ模索続く」は、司法制度改革審議委員会もと座長である佐藤幸治京都大学名誉教授(73)にインタビューを行い、大要、次の談話を掲載した。

「司法を身近で頼りがいのあるものに変えるという司法制度改革の理念は正しく、その成果も一部出てきているが、目玉である法曹人口増員と法科大学院制度の苦戦は残念。多様な人材に適切な教育を施して法曹の質を確保する法科大学院制度の理念は間違っていないから、司法試験合格者数年3000人の当初目標は維持すべき。法曹資格は収入を保障するゴールではないから、弁護士が増えすぎて食えないという増員抑制論は間違い。」

佐藤教授は学者らしく理念を語っているから、軽薄な処方箋談義に終始する安念・奥島教授よりマシだと思う。だが問題は、新制度がなぜ理念を実現しないのか、だ。その原因を突き詰めなければ、制度設計者として無責任のそしりを免れない。弁護士会など他人に責任転嫁しているうちは、「世間知らずが祭り上げられて浮かれたあげく、晩節を汚した」との評価を受け続けるだろう。こう書くとまた変な誤解をする人がいるが、私は弁護士会が悪くないなんて一言も言ってない。弁護士会は悪い。悪くて愚かだ。ただ、その話はこんな日弁連に誰がした?に書いたので、ここでは触れない。

教授に言いたいことは多いが、一つだけにしておきたい。

あなたは憲法の勉強が足りないのではないか。

司法が憲法上の制度である以上、司法制度の設計は、憲法に対する深い理解無くしては成しえない。もしこれに失敗したのなら、憲法の勉強が足りないとの批判は免れまい。そして失敗の原因は、現行憲法を立案し、これに基づく司法制度を構築した先人の思想と努力を学び検証する過程を、佐藤幸治教授らが怠ったことにもあるのではないか。同教授には、この批判に答える責任がある。

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コメント

 このブログを読む法律家はすべて、佐藤幸治氏が憲法学の教授であることを知っています。
 そして、多くの読者が、小林先生の指摘する「佐藤教授の司法制度に対する理解不足」についての具体的な内容が、今後、続けて掲載されていくであろうと期待しているところです。
 それを承知でのせっかちなコメントですが、「司法制度改革は、これにより、司法基盤が整備されて法律家に対する需要が急増し、この需要を満たすために法律家が増えれば、司法の力は強くなるであろうと、弁護士からも期待されたもの」ではなかったのでしょうか。
 今後の掲載に期待します。

投稿: なしゅ@東京 | 2011年6月12日 (日) 20時37分

憲法と司法制度改革との関係を理解していないのは先生の方ですね。

あまりにも無知な知識を書かない方がよいのではないでしょうか。
なしゅ@東京さんの嫌味なコメントを理解できていますか?

投稿: | 2011年6月24日 (金) 22時36分

 「あなたは憲法の勉強が足りないのではないか。」という刺激的,挑発的な表現は好みが分かれるところかもしれませんが,だからといって,小林先生に対する「憲法と司法制度改革との関係を理解していない」「あまりにも無知」との断定的な批評は,早計と思われます。
 そのような批評は,小林先生のブログでのこれからの掲載を最後まで読んでからでも遅くはないのではないでしょうか。

 確かに,私のせっかちなコメントは,予想される今後の掲載内容に対し,あらかじめ批判的に疑問を投げかけるものです。他方,今後の掲載において,この疑問に対する答えが用意されたとすれば,小林先生の論稿はより説得的なものになると言うこともできます。

投稿: なしゅ@東京 | 2011年7月 6日 (水) 00時05分

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