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2011年6月 7日 (火)

北沢・ゲーツ会談と武器輸出三原則

64日の各紙は、北沢防衛相がゲーツ米国務長官と会談し、共同開発中の次世代型迎撃ミサイルを「米国から輸出」する際、①輸出先を米同盟国に限定し、②同盟国から第三国に輸出させない厳格管理を米国が実施することを条件に、日本は輸出を容認することになったと報じた。

5日の読売新聞社説は、防衛技術国際共同開発推進の立場から、「日本は早期に武器輸出三原則の緩和に踏み出すべきだ」と支持した。一方しんぶん赤旗は、「武器輸出三原則のいっそうの形がい化を進める動き」と批判した。

どちらも間違いである。これは、武器輸出三原則の問題ではない。

単純な三段論法だ。

① 武器輸出三原則は、外為法の運用基準である。
② 外為法は、「日本から外国への輸出」を規制する法律である。
③ 「日本からの輸出」でないことには、外為法の適用がないから、武器輸出三原則の適用もない。

平たくいうと、武器「輸出」三原則は、日本からの武器「輸出」に関する原則だから、米国からの輸出に適用されるワケがない。

この問題の必読文献である『武器輸出三原則』(森本正崇著 信山社)61頁以下によれば、政府は、本件が武器輸出三原則の問題でないことを、四半世紀前から繰り返し表明している。政権党が交代したとはいえ、政府の理解に変更があったとは聞いていない。赤旗(共産党)は、知って惚けたフリをしているのかもしれないが、読売は無理解をさらけ出してしまったことになる。

武器技術国際共同開発の是非や内容については、大いに議論したらよい。だが、無理解に基づく議論は、何も生まない。しかも、外為法という「法律の運用方針」にすぎず、明文の根拠もない武器輸出三原則を、あたかも国際的な行動規範のように論じることは、法的理解の浅薄さというだけでなく、法治国家のあり方としても大問題だ。

お前はどう評価するかって?

米国製の武器を米国が輸出することは、米国の安全保障問題であり、米国の自由である。開発に日本が協力したとしても、それは同じだ。ところが今回、米国は共同開発したミサイルについて、日本の承諾が輸出の条件と約束した。これは、米国の安全保障に日本が積極的に関与することを意味する。日本の国益にどのような影響を及ぼすかはさておき、米国は、よく応諾したと思う。

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