ガンダムの「ハロ」と『攻殻機動隊』を地でいくお話
防衛省技術研究本部が開発中の「球形飛行体」が、話題だ。
見かけは直径42センチメートルの球体で、内部にプロペラがある。扇風機から回転翼とカバーを切り離して、膨らませたような案配だ。これがラジコン操作で、縦横無尽に飛び回る。飛ぶ有様は『機動戦士ガンダム』のマスコットキャラクター「ハロ」に近い。解説によると、球体内の8枚の羽で、姿勢を制御しているとのこと。しかも、廊下や階段など、建物の内部をぶつかりもせず飛行する。外縁でレーザーがチカチカ光っているので、距離センサがあるのだろう。これは立派なロボットだ。
驚きは、部品はほとんどが秋葉原で買い集められた市販品で、制作費が11万円とのこと。
外為法(武器輸出規制)の観点で言うと、値段から推して、部品一つ一つは輸出規制には引っかからないだろう。だが完成品は、防衛省が開発した偵察用飛行ロボットである以上、まず間違いなく輸出を規制されるだろう。
市販品の技術がこのレベルに達している現在、本気で武器輸出規制を徹底しようと思ったら、部品一個一個に輸出規制をかけるしかない。それが現実的でないなら、開発者(ビデオでラジコンを操作しているお兄ちゃん)の頭脳を日本に縛り付けておくしかない。それも現実的でないなら、攻撃用兵器以外の輸出規制は、もうあまり意味が無い、ということになるかもしれない。
映画『攻殻機動隊』の冒頭で、政府認定プログラマの出国は外為法に違反するとのやりとりがあったが、このシークエンスをSFと笑えない時代が、もうすぐそこまで来ている。
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