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2011年7月 5日 (火)

一般教養のマークし忘れで短答式に落ちた君へ

メールありがとうございます。予備試験の短答式に落第したとのこと、ご心情お察し申し上げます。一般教養シートの「選択チェック」のマークし忘れが敗因では、さぞ無念でしょう。私の合格の前年、複数の友人の名前を合格発表の中に見つけ、物陰にへたり込んでビルの谷間から見上げた空を、久しぶりに思い出しました。

ご承知のことでしょうが、貴君の落度であることはいうまでもありません。先輩面を許してもらうなら、我々の仕事には、時々(いつもではありませんが)、ノーミスであることをものすごく厳しく求められることがあります。司法試験の本番で、マークのし忘れは、やはり、やってはいけないミスですよね。

しかし他方、マークシートを拝見すると、他の科目のシートにはない「選択チェック」欄が、一般教養シートにだけ設けられています。WEB上一般教養は最終頁ですが、試験の順番も最後なのでしょうか?そうだとすると、受験生としては、一般教養のマークシートのデザインも他の科目と同じだ、と早合点することは十分あり得ることになります。つまり、「選択チェック」のマークし忘れはミスだが、このミスを誘発しやすいマークシートのデザインや、受験生の注意喚起を怠った試験運用のあり方は、反省を促すに値する、ということになるかもしれません。ミスを避ける努力や気合いは大事ですが、どれほど集中しても、一定の確率で避けられないミスは存在します。同じミスをした受験生は、何人くらいいるのでしょうか。

再度の先輩面を許していただけるなら、法曹の仕事の大半は、ミスの後始末です。フクシマの例で明らかなとおり、プラントの基本設計から制度運用、事故対応に至るまで、世界はミスに満ちあふれています。ミスの原因を探求して、再発を防ぐためには、いい加減でずるくて悪くてお人好しで馬鹿で強欲な人間性に対する冷徹な観察眼を持つ一方、これを人間の本質と受け止め、再びミスを犯さない設計や、社会の仕組みが何かを考える必要があります。それが法曹の仕事の本質であり司法の任務だ、ということが、私が最近のエントリで繰り返し訴えていることであります。

貴君は、ご自分のミスを通じて、人間性の本質に対する洞察を深め、よい法曹の資質を一つ獲得されたことと思います。また、受験仲間の経験則では、大ポカをやった翌年に合格する人も多いようです。健闘を祈ります。

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