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2011年7月20日 (水)

「武器輸出三原則」と「法の支配」

7月15日の毎日新聞朝刊「質問なるほドリ」は、日米共同開発ミサイルを米国が第三国に輸出することに日本政府が合意したことについて、坂口裕彦政治部記者による解説を掲載した。

解説には、「(日本が開発にかかわった)ミサイルが米国以外に輸出されることは〈武器輸出〉三原則の事実上の緩和です。歯止めとして…との基準を置きましたがいずれも曖昧で、日本の平和外交の理念である(武器輸出)三原則がなし崩しになる恐れがあります」とある。

しつこくて申し訳ないが、日本中で、この件に関する発言をしているのは私を除けば森本正崇氏しかいないので、繰り返し指摘しておく。

「武器輸出三原則」は、明文の規定がない。憲法はもちろん、条約にも法律にも、政省令にも規定がない。政府の行動準則が法律に明記されていなければならないということが「法律による行政」のキモであり民主主義の基本であるのに、「外交の理念」に法律の明文規定がないことは、民主国家として恥ずべきことだ。大新聞の記者にして、民主主義や法律に関するその程度の知識しかないとは情けない。「解説」は緩和基準が「曖昧」だと批判するが、曖昧なのは緩和基準ではない。武器輸出三原則本体そのものである。

しかも、「武器輸出三原則」は政府の行動準則のみではない。それによって輸出が妨げられたり許可されたりするという直接の利害を被るのは、民間人であり民間企業であり、つまりは「国民」である。つまり「武器輸出三原則」は、法律上全く規定がないにもかかわらず、国民の利益を直接規制しているのだ。これは憲法違反の疑いさえある、大変なことだ。

しつこくお断りしておくが、ここでは武器輸出三原則の善し悪しは一切論じていない。規範内容の善し悪しと、規範を法定することの要否は、全く関係ない。規範というなら、法定せよ。これが「法の支配」の要諦だ。社会の木鐸を自称する大新聞なら、まず主張すべきは、武器輸出三原則の法定である。

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