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2011年8月 4日 (木)

介護支援ロボットの法的問題と需要

理化学研究所と東海ゴム工業は82日、介護ロボットRIBAの改良型として、夕香から人間を抱き上げて車いすに載せる改良型「RIBA」を開発したと発表した。動画を見ると、シロクマのような顔のロボットが、職員の補助を受けつつ、寝ている人を「お姫様だっこ」して車いすに載せたり下ろしたりする様子が分かる。ちなみに、このニュースを聞いて、和田アキ子がCMをやっている「リーブ21」のコトだと思った人がいるが、間違いだ。

この種のロボットには、法的には、患者を落っことしてしまった場合誰がどう責任を取るのか?という法的問題がつきまとう。病院側には不法行為による損害賠償責任や、場合により業務上過失致死傷罪の適用が問題になるし、製造メーカーには、PL(製造物責任)法上の責任が問われる可能性がある。

このロボットは、動画を見る限り、病院職員の補助を必須としているようだ。これは、安全を確保する手段としても、万一の場合の責任の所在を明確にするためにも、賢い選択かもしれない。完全に職員の代わりになるようなロボットを作るより、職員補助を必須として、単に、その負担を軽減すると割り切ったロボットの方が、安全面の課題を回避しやすいだろう。

このほか、法的には、このロボットは労働安全衛生法所定の「産業用ロボット」に該当するのではないか、という問題もある。詳細は「御社がモビルスーツを工場に導入する際の法的注意事項(2)」をご参照されたい。定義上は該当するように思われるが、そうすると、「さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置」を設ける必要が発生するが、「さくや囲い」で人と分離したら本来の目的が達成できないので、この点をどうするか、問題が残る。

法的問題より重要なのは、経済的問題である。平たく言えば、需要があるのか?という問題だ。RIBAはナースステーションに常駐し、必要があるとき病室に呼ばれるようだが、動画で見るような「ゆっくり、ゆっくり」した動作では、実用に耐えないだろう。動作が遅いのは、患者の抱き起こしについてもいえる。この種の介護支援ロボットは、看護師さんの腰痛防止等負担軽減を目的に開発されているが、実際のところ、経験を積んだ看護士さんは実に軽々と患者を移動させるのであり(私自身、入院して身動きができないとき、華奢な女性看護師さんが2名で軽々と私を移動させたので驚いた経験がある)、自分の年収の2倍もする介護ロボットが「ゆっくり、ゆっくり」仕事をするのを受け入れるかどうか。「ええい、かったるくて見てられないわ。そんなノロいなら私がやる!」ということにならないだろうか。

私は、看護師さんの肉体的負担は承知しているつもりだし、腰痛が職業病であることも知っているから、その負担を軽減することに異を唱えるともりはない。私が言いたいのは、その解決策として、「病棟1台」の人型ロボットが適切か否か、という点だ。例えばパナソニックは、抱き起こし用人型ロボットの開発を断念し、ベッドの一部が分離して車いすになる方式を提案している。「患者1台」だ。このアプローチが正しいか否かは分からないが、他方、人型にこだわりすぎるのも、いかがなものかと思う。

http://youtu.be/wyNa7b4eHRo

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