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2011年9月15日 (木)

弁護士が訴訟リスクにさらされる時代

9月9日の産経ニュースによると、京都市内の家主と管理業者が、借主の代理人弁護士らを被告として、払い戻した更新料と慰謝料計約240万円の返還請求訴訟を提起したという。弁護士を被告にした理由は、「敷引特約は消費者契約法違反で無効。判例も確立されている」などと虚偽の事実が書かれた通知書を発送したからだそうだ。

家主ら側の代理人は、京都弁護士会の田中伸弁護士。借家契約の更新料は有効という最高裁判所判決(8月15日)を勝ち取った家主の代理人であり、30年以上のベテランだ。訴えられた弁護士は不明だが、この事件で借主側の代理人を務めた、京都の弁護士の一人だろう。

もし、上記訴訟で家主側が勝てば、被告の弁護士は、慰謝料等を支払わされた借主からも賠償請求を受けるリスクを負う。借主にも、同様の「虚偽の説明」をしたことになるからだ。

弁護士が訴訟の相手方代理人弁護士(しかも同じ弁護士会)を訴えることは、業界の従来の常識に照らせば、尋常ではない。もしかしたら、とても特殊な事情があるのかもしれない。しかし、そうだとしても、この事件は、弁護士自身が普通に訴訟リスクにさらされる時代の嚆矢になるだろうと思う。

内部通報のため不当な配置転換をされたというオリンパス社員の訴えが東京高裁に認められた事件に関し、ある電子日刊紙は、「弁護士のブラック過ぎる手口」と題して、同社の代理人である大手法律事務所の「T谷弁護士がかねてから(オリンパス社ほかの)産業医とグルになり、陰湿な手口で社員を社会的に抹殺してきた疑いがある」と報じた。記事上、弁護士が誰かの特定は容易だ。

ソースは相手方一方のようだし、記事を読んでも、弁護士がどの程度具体的に関与していたかは分からない。しかし、当該大手法律事務所と弁護士から名誉毀損等で訴訟を起こされるリスクを承知で記事を書いた以上、記者氏と出版社はそれなりの覚悟と根拠をお持ちなのだろう。

この記事からもいえることは、一方当事者の代理人弁護士本人が、普通に指弾される時代が来た、ということだと思う。

余談だが、私はこの記事を「ボ○○○」で知ったが、数日後、リンクが消えてしまっていた。なぜだろう。

追記

「福岡若手弁護士のblog」さんが、「貸金債務者側弁護士の控訴理由書中の表現が慰謝料支払対象に」というエントリを公開していたのでご紹介しておきます。

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コメント

ブログ主殿を弁護士と見込んで、お尋ねします。

ここの記事の後半の事件ですが、これほどの内容を書かれて、T谷弁護士とやらは名誉毀損訴訟とか何も行動を起こさないのでしょうか。何やら、肩書きや経歴はおそろしく華々しい人物のようですが、ここまで書いた電子日刊紙のほうは、「こいつはハッタリだけのペテン師に過ぎねえ!」と主観的に舐め切ってるのはわかります。

大金持ち専門の最強用心棒集団として、法外な報酬を日頃から貪っている団体がいるとしましょう。そんな団体なら、外部からの公然たる侮辱や挑発に知らん顔をしていられるのでしょうか。火の粉も払えない用心棒に頼り続けるクライアントがそんなに日本には多いのですか?

1、記事は真実だが、本当にあの事務所やT谷弁護士は無能なハッタリ屋にすぎず、藪蛇を怖れ、これほどの侮辱にも必死にやり過ごすことしか考えてない。

2、記事はデタラメだが、本当にあの事務所や(以下同文)

3、記事はデタラメだが、もともと自分の顧客はあんな記事を気にしない。だから、労力を割きたくないので、一切無視。

4、記事は真実だが、もともと自分の顧客は(以下同文)

一番穏当な解釈は3でしょうか。しかし、どう考えても反撃の力もない弱者どころかそれが専門の本職しかもどえらい経歴でその道の第一人者を強烈に自認しているような人物や事務所がこんな態度をとっているのを考えると、私は強烈な不審感を感じざるを得ません。クライアントの企業が反社会集団に狙われて誹謗中傷攻撃を受けても何もできなさそうだから。2ならやっぱりろくでもないし、4でも、こんな事務所を顧問にし続けるような杜撰な意識の会社の商品なんか金輪際買いたくない。やっぱり、真相は1でしょうか。「いや違うだろ。第5の解釈はこうだ」というのがありましたら、お願いします。

投稿: | 2011年9月18日 (日) 20時48分

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