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2011年9月30日 (金)

東日本大震災から日本のロボット産業を考える

先日、RooBoの定例会から講演の機会をいただいた。標記の大層な題目だが、25分なので、ポイントだけの話である。この問題についての過去エントリはこちら(6月257月15)。

東日本大震災、とりわけ原発事故では、日本のロボットは大いに評判を落とした。はじめこそ、「日本製災害ロボット出番間近 技術力は欧米並み」と期待されたが、「レスキューロボ待機続く 行政受入余裕なく」(319日産経新聞)とトーンダウンし、515日には、痺れを切らした日経に「緊急時に役に立たない防災ロボットなら開発するだけ無駄」と書かれる始末。624日にようやく投入された千葉工業大学のQuinceも、同日、78日、26日のミッションを失敗した。一方、米軍御用達iRobot社製のロボットWarriorは、現場の思いつきで掃除機をテープでくくりつけられても、のしのし働いて成果を出している。

だが、悪いことばかりではない。最大の収穫は、課題が明確になったことだ。「修羅場に強い国産ロボを」(523日日経)や、「実績不足。実戦を経験していない(624日日刊工業新聞)と指摘され、実戦経験の重要性が認識された。一方研究者は「マーケットサイズがネック(510田所諭教授)」「事故発生率が低いハイリスク対応が必要(510日浅間一教授)」「誰でも操作できるロボットが本当に使えるロボットと痛感(97日吉田和哉教授)」と、レスキューロボットに実戦経験させるための問題点を明確に認識するに至っている。

要するに、地震や津波と行った大規模自然災害は、「発生率が低いハイリスク」、つまり滅多に起きないが起きたら大変、というタイプの事象なので、日本一国では実戦のフィールドとして狭すぎる。最低でもアジア・オセアニア程度は活動範囲に含めなければならない。また、熟練した操縦者や研究者をロボットとともに災害現場に投入できるとは限らないのだから、誰でも操作できるロボットをはじめから開発しなければ、役に立たないのである。

ここまで課題が明確になれば、法律家としても、何を考えれば良いかが見えてくる。それは第一に、マーケットサイズを大きくする場合の法的問題点であり、第二に、素人がロボットを操縦して問題が起きたときの法的リスクの見極めだと思う。

第一の点は、さらに、日本に災害支援ロボットを常備して、災害発生後48時間以内にアジア・オセアニア中の災害現場に投入できる体勢を造る、という問題と、はじめから国外の研究者と協働して開発し、外国にレスキューロボットを配置する、という問題に分かれる。両方で問題になるのは外為法だ。災害支援ロボットは、容易に軍事転用が可能なので、開発段階では、輸出許可が下りるか否か、分からないだろう。まして、外国企業との共同開発は、現状の外為法制に照らす限り、無理だと思う。それが開発を萎縮させることが懸念される。

後者の点は、操作中に事故や不具合が起きたとき、誰がどのような責任を問われうるのか、を事前に見極めておくことで、相当程度解決が可能だと思う。要はPL法をはじめとする各種法律のあてはめであり、しかも、災害現場においては、多くの場合、法的免責が得られるであろう。その理屈や、リスク回避手段をあらかじめ考えておき、研究者やメーカー、操作者を安心させることによって、レスキューロボットの展開を側面支援することができるだろう。

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コメント

原発に関しては、日常業務にロボットを導入することが一番の早道です。多重下請けのバカ高い人件費を圧縮出来るのですから、最終的には劇的なコストダウンになるでしょう。

投稿: worldcomw | 2011年9月30日 (金) 11時59分

皮肉なことに、日本では人間の方がロボットより安く、命令に絶対服従なので便利なんです。

投稿: hiro | 2011年9月30日 (金) 12時26分

アシモが役立たずなのは最初から判っていること。

投稿: あ | 2011年9月30日 (金) 18時16分

原発事故の場合、電子機器は放射線で誤動作故障を起こす可能性が高いのでロボットを使用するのは結構難しいこと知らない人が多いい事に驚いております。宇宙空間も同様です。
最近のCPUのように低消費電力の為に作動電圧が下がってくると余計に放射線には弱くなります。

投稿: HAL9000 | 2011年10月 1日 (土) 00時22分

と言うより、日本のロボット技術そのものが、たいしたことないというのが現状でしょうね。
大海を知らず、独りよがりで閉鎖社会の中で、独善と、思い込みで優れた技術があるかの様の思い込んではいないですか。
 産業用ロボットなども、所詮は目的を特化されて自動機と言うだけのことであり、汎用機ではないし、建設機械などもリモコン運転などの技術はあってもそれを原発用に発展させる柔軟な思想が此の国にはないようです。

投稿: kamo | 2011年10月 1日 (土) 07時56分

原発用ロボットはかなりの額の国費をかけて開発したのに、安全神話により不要であるとされ捨てられたとのことです。開発に失敗した訳ではなさそうですよ。

投稿: 宇宙用心棒 | 2011年10月 1日 (土) 14時26分

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