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2011年10月18日 (火)

自炊代行業と著作権について

1017日日経朝刊「法務インサイド」によると、国内88社の自炊代行業者に対し、122人の「人気作家」と出版社が質問書を送付した。自炊代行業者の中には、訴訟を恐れて廃業するところも出ているという。

「自炊」とは書籍を裁断し、スキャナーで電子化する作業のことで、データを「自分で吸い込む」ことから転じたと言われている。記事によると、自炊代行業の利用者は、本を段ボールに詰めて宅配便で送付し、データを受け取るという。中には、ネット通販で注文した書籍の配送先を自炊代行業者に指定し、データだけ受け取る人も珍しくないという。

自炊が著作権法上問題になるのは、301項の解釈に関わる。同条項は、著作物は「個人使用目的で、その使用する者が複製することができる」と定めているのだ。従って、自宅で自ら自炊することは問題ない。また、家族に作業して貰うことも問題ないと解されている。だが、自炊代行業者に自炊作業を委託することは「その使用する者が複製する」といえるのだろうか。

学者や実務家の多くは、自炊代行業は違法との見解を取る。自炊のための設備を備えた業者に有償で自炊を依頼するのは、もはや「その使用する者が複製する」とはいえないという解釈だ。この件に関する裁判例はないが、MYUTA事件の東京地裁判決や、まねきTV、ロクラクⅡ事件の最高裁判決を見ると、裁判所は違法と判断すると予想される。

異論はあるだろうが、法律が「その使用する者が」とわざわざ挿入した趣旨は、自ら使用しない者による複製を禁止するためとしか解されない。その目的は、複製を専門とする業者は、必ず違法な複製にも手を染め、あるいは複製物を横流しすることによって著作権を害する、という認識があるのだろう。

この認識が正しいか否かは議論すべき点だ。だが、間違っているとすれば、法改正によって正すべきであり、司法が正すには、法解釈の限界を超えていると思う。

ところで、記事によると、出版社側の代理人を務めるのは久保利英明弁護士である。あらゆる法的紛争に顔を出し、法網をかいくぐる零細ベンチャーを駆逐し、たった一人で日本の「法の支配」を実現せんとする久保利弁護士には、心からエールを送りたい。

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