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2011年10月12日 (水)

例外の例外の例外を定めた法令

例外だらけの法律を作ると、どうなるのだろう。9月30日に省令が改正された外為法を例にとって説明しよう。

今回改正されたのは、技術提供に関する規制だ。

まず原則として、技術に関する情報を郵送やファックスや電子メールで外国人に伝える行為は、通信の自由として、憲法上保障されている。

だが、軍事利用が可能な技術情報が自由に流通しても困るから、外為251項は、「政令で定める」特定技術は、特定の外国人に提供してはいけない、と定めている。これを受けて、外国為替令17条に基づく別表は、許可対象となる技術情報を定めている(第一の例外)。

だが、別表に定める技術情報だからといって、全部許可対象とするのも行きすぎだ。そこで外国為替令175項は、「経済産業大臣が…指定した」技術情報提供については、例外として、許可不要と定め、具体的には、貿易関係貿易外取引等に関する省令92項に、許可不要となる技術情報提供を列挙している(第二の例外)。この「指定」として、「公知の技術情報」について、許可不要となる場合を定めたのが、同省令929号だ。この条項は、たとえば新聞等によって既に不特定多数の者に対して公開されている技術を提供する場合には許可不要とするものである。

ところが、今般、この条項が改正され、「特定の者に提供することを目的として公知とする取引その例外、と定められた(第三の例外)。

つまり、今回の省令改正は、通信の自由の原則に対する、例外の例外の例外だ。だから何だって?私にも分からない。こんな複雑な規定を定めて何かの役に立つと思っている人間は、多分作った本人だけだろう。

この例外規定を設けた理由について、経産省は、「特定の者(外国にいる取引の相手方等)に対する情報提供を目的として、規制対象技術をホームページに掲載すること等により取引を行う場合は許可不要の規定に該当しないことを改めて明記したも」と説明している。特定の相手と示し合わせて、ごく短時間に限ってホームページに掲載したり、暗号化して掲載する等の方法によって、特定の相手に情報を渡す行為を禁止する趣旨だろうか。もしそうであるなら、脱法行為を摘発すればよく、わざわざ例外規定を設ける理由はない。

外為法の法体系が「老舗の温泉旅館」に喩えられて久しい。長年にわたり違法な増築を重ねた結果、どこにどの部屋があるのか、ベテランの仲居さんでも分からなくなりつつある。このような建築物は、総じて危機に弱い。いったん火事になれば、多くの宿泊客は逃げ場を知らず、大やけどを負うだろう。

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