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2011年11月 7日 (月)

開業医の月収231万円 国立病院勤務医の2.3倍に

11月2日の時事通信は、標記の見出しで、厚生労働省による今年度の医療経済実態調査の結果を報じた。

このご時世に、月収231万円とは、世間の注目を集めるには十分な数字だ。

だが、弁護士たるもの、こういった報道を、眉につば付けずに聞いてはいけない。この種の報道には、必ずと言っていいほど、誰かによる何かの目的がある。以前、「登録5年目弁護士の平均年収2000万円」と報じられたとき、アンケートの回答率が低くて信用できないとか、それは所得じゃなくて収入だろうとか、平均はそうでも中央値ではないだろう、とか騒ぎ立てた弁護士が、医師の収入に関する報道を鵜呑みにしてコメントするのは、不公平に思える。

神戸のしがない開業医」さんによれば、医療経済実態調査は「医師の間では実態を表していない実態調査として有名」だそうで、原典である機能別集計等117頁以下にあたってみたところ、「国立大学勤務医」の平均月収データは直ちに発見できたが、開業医(個人経営の診療所)とあるのは、実は「医療法人の院長」の月収であり、この「医療法人」というのは、全国で約10万箇所ある診療所の約4割にあたり、その9割以上が「一人医療法人」であって、その収益は非医療法人と大差ないはずであるにもかかわらず、統計上約2倍の収益を上げているのは、ごく一部の「スーパー勝ち組」が平均収益を引き上げていると推測されるから、その「院長の平均月収が231万円」と言ったところで、実態を反映しているとはとてもいえない、とのことである。

「神戸のしがない開業医」さんの分析が当たっているのか否か、私には分からない。だが、報道が「開業医」を「個人経営の診療所」と記載したにもかかわらず、その実「医療法人の院長」であることは確からしいし、そうであるとすれば、報道の信憑性は相当疑われるべきだろう。

それでは、このニュースに現れた「誰かによる何かの目的」とは何か。112日の日本経済新聞によれば、厚労省は、2010年度の診療報酬改定で改定率を10年ぶりにプラスにして、「勤務医の待遇改善」を図ったところ、確かに勤務医の収入はアップしたが、開業医はそれ以上にアップしたため、格差が拡大したという。

この報道からすれば、厚労省の意図は明らかだ。それは、勤務医の比率を高めたいということにある。その背景には、地方の医師不足・あるいは医師偏在問題があるのだろう。医師に限ったことではないが、一度開業してしまうと、店をたたんで移動することは、困難だからだ。

勤務医の比率を高め、流動性を増して偏在を低減するという政策に、一定の合理性があることは否定できない。だが、その政策のために、痛くもない腹を探られる開業医は気の毒だし、毎度のことながら、国民の嫉妬心に訴えて政策遂行を図る政府のやり方は腹立たしい。朝霞公務員住宅問題でやられたお返しかもしれないが、そうだとすれば、レベルの低いお話である。

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コメント

勤務医の給与にはボーナスが入っていません。
また開業医はここから背負った借入金の返済を行なっているので
全く公平な比較ではありません。

投稿: ドクター・キリコ | 2011年11月 7日 (月) 16時30分

ドクター・キリコ様
ご指摘のとおりと思います。
それにしても、オソロシイお名前ですね。

投稿: 小林正啓 | 2011年11月 7日 (月) 17時31分

記事を興味深く拝見しました。

紹介されていた「神戸のしがない開業医」さんの記事も拝見し、医師と思われる方と議論することが出来ました。
よい機会を与えて頂いたことに感謝致します。

しかしながら、いつも気になるのは医療の閉鎖性と偏執ぶりです。

私の生きているうちに医療業界はオープンとなり、患者も安心して医療を受けることが出来るようになるのでしょうか。

正直、暗澹たる気持ちになります。


もしお時間があれば今回の議論につきご覧頂き、アドバイスを頂ければ嬉しく思います。

投稿: 働く薬剤師 | 2011年11月16日 (水) 19時20分

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