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2011年12月28日 (水)

武器輸出三原則は、裸の王様である(9月26日分再掲)

 前原誠司民主党政調会長は25日の討論番組で、武器輸出三原則の見直しに触れ、「(他国との)武器共同生産を例外規定にすべきだ。政府も党も、この考えについてはもう結論が出ている」と強調したと、時事通信が報じた。

だが、この『例外規定』という言葉が正確なら、前原政調会長は、武器輸出三原則の本質を何も知らないことになる。

村上春樹『1Q84には、「武器の輸出は憲法で禁止されています」との下りがあるそうだが、日本国憲法にそんな規定はない。憲法どころか、武器輸出三原則を定めた法律すらない。だから、『例外規定』と言ったところで、原則規定が存在しないのだから、例外規定など定めようがないのだ。

武器輸出三原則は、昭和42年(1967年)の佐藤栄作首相の答弁、昭和51年(1976年)の三木首相による答弁によって表明された政府見解であり、それが継承されているだけのものである。すなわち、表明された政府の考えにすぎず、法律でも何でもない。実際、朝鮮戦争(1950-53)当時、日本製の武器が大量に輸出された。武器を含め、輸出の自由は、新憲法下で保障されているから、法律で規制しない限り、自由なのである。

現在、武器を含め輸出を規制するのは、外為法(外国為替及び外国貿易法)だ。その48条に基づく政令(輸出貿易管理令)が、軍用貨物や兵器など、多種多様な品目に規制をかけているが、これらの法令に「武器」という文字はない。武器輸出三原則は、この政令の下にあって、許可対象になる品目のさらに一部について、「事実上」、許可条件をとても厳しくするという「運用」を行い、その対象品目を「武器」と呼んでいるのだ。

つまり、武器輸出三原則は、外為法と輸出貿易管理令に基づく輸出許可条件の運用方針にすぎないのである。しかも、運用の裁量はとても広いから、事実上どう運用しても、法律違反に問われることはまずない。

それが何を意味するか。たとえば、政府が武器輸出三原則を破り、武器の輸出や、外国との共同開発を許可したとする。この行為は、政治問題を惹起するかもしれないが、違法ではない。法律上、政府が武器輸出三原則を破ることは、自由なのである。実際、政府は、アフガニスタン軍輸送機プロペラの輸出を許可したことがある。これは、従前の例に照らせば、武器輸出三原則違反の可能性が高いと思われるが、そうだとしても、違法ではない。

武器輸出三原則は、平和憲法の体現でもなければ、政府や武器商人を縛る法律でもない。武器輸出三原則は、裸の王様である。詳細は、森本正崇氏の著書を参照されたい。

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