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2012年1月23日 (月)

今後の日弁連に対する若手弁護士有志からの提言

標記の提言が、ちょっと話題になっているので読んでみた。

「我々は,何のために弁護士になったのだろうか」

で始まり、

「弁護士業界を希望と浪漫あふれる業界に」

「社会の隅々に法の支配を浸透させ,今後の日本の復興・成長に寄り添う」

等と決意が語られる文章は、大要、次の5つの提言を掲げている。

1.   日弁連の会計の見直し

2.   日弁連会費の減額

3.   (日弁連による)研修や業務インフラの提供

4.   日弁連会長被選挙資格制限(登録期間10年)の撤廃

5.   法科大学院制度の存続と改革

世話人一覧の最初に名前の出てくる小島秀一弁護士が、有志の筆頭なのだろう。同弁護士は新61期だから登録4年目に入ったところ。平成2112月当時は民主党の仙谷由人衆議院議員政策秘書だったが、現在は、法律事務所東京法務コンサルタントに所属している。同事務所の代表である仙谷勇人司法書士は、仙谷議員のご長男のようだ。

感想だが、まず、若手弁護士が集い、弁護士や司法のあり方について議論をたたかわせ、決意を語ることは、とても良いことだと思う。

ただ、「弁護士業界を希望と浪漫あふれる業界に」と言う割に、提言が会費減額や研修の充実では、いささか落差がありすぎじゃないだろうか。世界人類の幸福を論じながら、今夜のおかずは肉を増やしてと要求しているように聞こえてしまう。また、「日本の復興・成長に寄り添う」と言っているのに、対応する提言がない。

会費の減額や研修の充実が、若手弁護士の切実な要求であることは、とてもよく分かる。法科大学院出身であるだけで、色眼鏡で見られる屈辱にも同情する。だが、身近な要求はとりあえず横に置いて、大きな夢を語ってほしいなあ。司法とは何か。「日本国において弁護士が名誉ある地位を占めるために」若手弁護士は何をすべきか。青臭いと嗤うなかれ。青臭い議論は若手の特権なのだから。辰年にふさわしく、竜頭竜尾で行ってほしい。

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コメント

私も提言を読みましたが,この提言には,そもそも弁護士を「司法」の枠組みからも解き放ち,ただの法律に詳しい資格(それがビジネスの元手としてどれほど使えるかは,私は悲観的に見ていますが)として扱ってほしい,という,今までの「司法」と異なる分野(代表は秘書ですね)に進出した若手弁護士の願望が根底にあるのではないかと思いました。そんな若手弁護士からすると,そもそも「日本国において弁護士が名誉ある地位を占める」とか言う「大きな物語」を,弁護士全員が共有するという枠組み自体から解放させてくれ,それでこそ様々なビジネスが花咲き夢とロマンが生まれると言うのが要求なのではないでしょうか。(弁護士会強制加入や弁護士自治自体も否定しそうな勢いです。)だから,先生がご期待されるような議論をすること自体,無理というものなのです。

投稿: 某若手 | 2012年1月24日 (火) 12時26分

コメントありがとうございます。私は、特定の大きな物語(たとえば「弁護士プロレッション」論とか「大きな司法」論など)を押し付けるつもりはありません(もしそう受け取られたのならごめんなさい)。「ただの資格論」でも「純粋サービス業者論」でも「弁護士自治不要論」でも、どんな物語を掲げるのも自由ですし、今までの「司法」とは別の枠組みで考えるのも結構ですし、それも一つの「物語」だと思います。ただ、そういう立場をとるなら、冒頭にそう宣言すべきです。従前の価値観との決別を宣言するべきです。単に「おなかが空いたから肉が食べたい」でも結構ですが、それなら、「先人の積み上げた弁護士への信頼感」とか、「社会を公平・公正に発展させていく」とか、旧主流派の慣用句である「社会の隅々に法の支配を浸透させ」るとか言うべきではないです。私が求めるのは首尾一貫性であり、その点で、この提言はやや残念だ、と申し上げているつもりです。

投稿: 小林正啓 | 2012年1月24日 (火) 14時00分

この業界は、なんでもありという気がしてしまっているので、私はどうしても穿った見方しかできないので困っているのですが、
鳥飼法律事務所の方が多いようですが、所属事務所の他、例えば、派閥の所属の有無や所属派閥など賛同者の背景というのは影響しているのでしょうか。

この方々は、純粋な気持ちで行われたとは思いますが、今後、若手に一見中立的な下部組織を作らせて、「若手の意見」を免罪符に、一定の意見を発信させ、それを汲み上げるという形で、自己の路線を加速させようとする勢力が発生するという可能性はあるのではないでしょうか。

投稿: 元ロー生 | 2012年1月26日 (木) 13時05分

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