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2012年1月25日 (水)

減少する弁護士会法律相談を分析してみる

大阪弁護士会法律相談センターの相談件数が減っている。

原因を探るために、内訳を見てみよう。

まず表1は、弁護士会で行われる法律相談を、相談所毎にグラフ化したものだが、大阪市の中心部にある本会館での相談件数が抜きんでて多く、また、減少傾向が著しいことが分かる。弁護士会は、平成12年度以降、地方都市に衛星法律相談所を設置しているが、どれも絶対数において僅少であり、設置後23年でピークを迎え、その後漸減傾向にある点で変わらない。唯一の例外は、家庭裁判所の至近にある谷町センターの相談件数が伸びている点だが、これは、平成21年度以降、受け付ける相談の種類を家事のみから法律相談一般に拡張したためだから、あまり参考にならない。
これは大阪という人口密集地の特色かもしれないが、周辺地域に法律相談所を設置しても、全体の法律件数は伸びないことが分かる。

次に相談内容ごとに分類してみたのが表2だ。

最も目立つのが、「一般」相談件数の激減であり、平成18年度以降、ほぼ半減している。減少分の一部には、分類方法の変更により、他科目に移動したものが含まれると思われるが、この点を除けば、減少に最も影響を与えたのは、平成1810月の法テラス業務開始と推測される。

サラ金相談は、平成1415年がピークで、その後平成19年、20年に持ち直したが、平成21年以降激減している。これは、過払いの法律相談が、大規模広告を打つ弁護士や司法書士に奪われたためだろう。

一方、「その他」が平成19年から平成20年にかけて延びているので、その内訳を表示したのが表3である。
これによると、「労働」相談件数が、急激な伸びの原因であることが分かる。これは、不況と、非正規雇用問題の表面化という世相を反映してのことと思われる。

法律相談件数が今後上昇することを示唆する指標はない。むしろ、法テラスが今後資力要件を外せば、弁護士会の法律相談件数は致命的な影響を受ける可能性がある。

また、橋下大阪市長は、知事時代と同様、市の弁護士会に対する法律相談委託料を削減ないし廃止するだろう。大阪市だけなら年2~3000万円の話だが、もし、他市が追随すれば、年1億円程度の減収となる。そうなれば、大阪弁護士会法律相談センターの赤字は、年2億5000万円を超えるだろう。

以上要するに、大阪弁護士会の法律相談センターは、事業としては、成立し得なくなってきているのだ。(続く)

Soudansho

Naiyougoto

Sonotanouchiwake

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コメント

で、どうすればいいと思われますか?
最近、それを考え続けているのですが、なかなか妙案が・・・。

もともと司法アクセスの1つとして公益目的が主眼で、事業として成り立つことを考えていなかったのでしよう。

ただ、このまま赤字を増やしてはいけないので、スリムアップが必要です(自分のスリムアップも出来ないくせになんていわないで)。

投稿: いしだ | 2012年1月25日 (水) 23時34分

コメントありがとうございます。
弁護士会の法律相談事業は営利事業ではないので、黒字である必要はありませんから、問題は、この赤字増を許容できるか否か、だと考えます。まだ許容できる、という考え方もありえますが、許容限度を超えつつある〈または超えた)との立場を取るなら、選択肢は大別して二つと考えます。
第一は、弁護士会の法律相談事業は法テラスの創設によりその公共的役割を終えたとして、店じまいする選択です。
第二は、事件を創り出す広報です。事件を探しに行ったり(衛星相談所の創設を含む)、弁護士を頼みたいと思っている人に近づく広報ではありません。弁護士が念頭にない人に対して、弁護士に相談すれば、幸せになれるとか、お金になるとか思ってもらうための広報です。
青島刑事も言っています。「事件は探すものじゃない。作るものだ!」と(ちょっと違うか…)

投稿: 小林正啓 | 2012年1月26日 (木) 10時14分

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