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2012年3月21日 (水)

勝者なき戦い~日弁連会長選挙再投票結果分析(5)~

以上を踏まえた場合、次回の再選挙に、山岸・宇都宮双方が立候補を行うだろうか。いいかえれば、立候補を辞退するべきはどちらであろうか。

山岸候補は、再投票でも14単位会しか獲れず、当選要件の18単位会の支持を得られなかった。しかし、各単位会での得票数を見ると、同点の静岡(0)、山梨(4)、三重(5)、山口(1)、秋田(4)、釧路(2)のうち4単位会を獲れれば当選していたことになる(括弧内は両候補の票差)。単純計算すれば、18単位会獲得に足りなかった票数は、たった十数票だ。

一方宇都宮は、再投票でも山岸候補に1072票の水を開けられ、これを覆すことは極めて困難である上、再選挙となった場合、18単位会を奪われる可能性は五分以上ある。

つまり、宇都宮は、再投票での獲得票数で山岸候補に敗れた上、再選挙で勝利できる可能性はとても低い。

したがって、「再投票でも動かなかった東京の浮動票を動かすほどの斬新で説得的な新公約」を打ち出さない限り、勝利の可能性がない。再出馬は、無用な混乱を招き、日弁連と弁護士全体に恥を上塗りする結果(=再選挙における再投票)に終わろう。

いいかえれば、再選挙を戦うか否かの選択は、宇都宮が新公約を打ち出すか否かにかかっていることになり、宇都宮陣営にイニシアティブが存在することになる。手ぶらでの出馬が許されないのは、宇都宮側ということだ。

しかし他方、2度にわたり18単位会の支持を得られなかった山岸側も安泰ではない。

日弁連会長選挙における単位会要件は、54単位会中「過半数の単位会の支持」を要件にしているのではなく、「3分の1の単位会の支持」を要件としている。従ってその趣旨は、単位会要件は「当選要件」ではなく、「資格要件」と解すべきだろう。平たく言えば、「最多票を取っても、3分の1の単位会の支持すら受けられないような候補には、日弁連会長の資格はない」ということだ。再投票で単位会要件を満たせなかったのは際どい勝負であったとはいえ、アウトはアウトである。

結局のところ、今回の日弁連会長選挙は、資格要件すら満たせない山岸候補と、そんな候補にさえ敗れた宇都宮候補の戦いであり、実質的に見るなら、勝者のいない戦いだった、ということになる。そして日弁連は、その代表者すら自力で選べない団体に成り下がった事実を、世間に晒した、ということになる。

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コメント

小林先生、この件は中立ではないですよね…

投稿: しんたく | 2012年3月21日 (水) 17時58分

そうですね。中立ではないですね。私は現時点で山岸支持ですから、中立ではありません。ただ、支持と言っても、正直、ものすごく消極的な支持であることは、本文に表明したとおりです。

投稿: 小林正啓 | 2012年3月22日 (木) 00時05分

宇都宮候補を宇都宮と呼び捨てにし、山岸候補には「候補」とつけるのをやめるくらいの中立性はあってもいいんじゃないですかね。

投稿: バカラ | 2012年3月23日 (金) 23時04分

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