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2012年3月 6日 (火)

炭素繊維屑は安全保障輸出規制を受けるか

東レ、三菱レーヨンなどの炭素繊維工場では、日々、大量の「炭素繊維屑」が生まれている。工程の途中で切れたり傷ついたりして完成に至らなかったものや、完成したが要求性能を満たさなかったものなど、理由は様々だが、とにかく、大量の炭素繊維屑が出る。この炭素繊維屑は、まとめて段ボール箱に入れられる。一本一本は髪の毛のように見えるため、大量の炭素繊維屑が段ボール箱に詰め込まれている様子は、まるで床屋のゴミ箱のようだ。巨大なボビンに巻かれ、整然と出荷される完成品とは雲泥の差だ。

炭素繊維工場にとって産業廃棄物でしかない炭素繊維屑だが、それでも、短く裁断した上、壁材や板材に混ぜて固めると、強度を増してくれる。昔の土塀にわら屑を混ぜていたのと同じ理屈だ。そのため、炭素繊維屑は、壁材等の材料として流通している。

さて問題は、これら炭素繊維屑は輸出できるのか?という点だ。

外為法に基づく輸出貿易管理令の細目を定める輸出等省令(輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規程に基づき貨物又は技術を定める省令)によると、炭素繊維そのものの輸出が規制されているのは、次のいずれかの場合である。

輸出等省令1条(原子力関連)22号ロ
1)炭素繊維…であって、次のいずれかに該当するもの
1
 比弾性率が1270万メートル以上のもの
2
 比強度が235000メートル以上のもの

輸出等省令4条(先端材料)15号ロ
炭素繊維であって、次の(1)及び(2)に該当するもの
1) 比弾性率が1465万メートルを超えるもの
2) 比強度が268200メートルを超えるもの

国内の炭素繊維工場では、これらのスペックを充たす炭素繊維を製造しているから、この工場から出る炭素繊維屑の中には、これらのスペックを充たす炭素繊維も、混じっている可能性がある。だが、現実には、その要件を満たす炭素繊維と、満たさない炭素繊維を分別することは不可能だ。もちろん、蜘蛛の糸のように細い炭素繊維を、絡まないよう慎重に一本一本より分けて、その強度を計測すれば、理屈上分別は可能だが、途方もない手間暇がかかる。しかも、より分けたところで、所詮は不良品。比弾性率や比強度が規制値を満たすところで、どんな瑕疵があるか分からないから、それを原材料にして信頼できるミサイルが製造できるとは、とても思えない。

安全保障輸出管理制度の目的に照らせば、炭素繊維屑は、仮に輸出等省令に該当する炭素繊維が混じっていたとしても、それをもって、輸出規制品であるとはいえない、というべきだろう。

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