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2012年4月 6日 (金)

弁護士と顧客満足(CS)

大坂弁護士会最大級の派閥である友新会が「利用者の視点で弁護士・弁護士会のあり方を考える~真の顧客満足とは何か~」というシンポジウムを開き、その有様を会誌に掲載した。

ゲストはもと大阪家庭裁判所所長の林醇氏と、北野病院病院長の藤井信吾氏。林氏は「大阪家庭裁判所CS向上プロジェクト」を発足させ、家事調停における「顧客満足」を追求した。家事調停とは主に離婚と相続だが、調停成立率が低く、当事者が満足を得られていないのではないかという問題意識のもと、裁判官や調停員らにより構成するワーキングチームを作り、CSの向上を目指した。

藤井信吾氏はもと産婦人科医。年間1000分娩ある病院の医長から病院経営の手腕を発揮し、赤字病院を次々黒字化した。患者を断らない、病院スタッフの責任感と奉仕の精神を醸成する、接客に必要な言葉遣いの徹底など、あらゆる面で病院のCS向上を図っている。

対する弁護士からは、藪野恒明現大阪弁護士会長ら。弁護士側からは、弁護士大増員時代を踏まえ、依頼者の視点に立った業務のあり方について、様々な意見が出されたが、ゲストの二人に比べ、焦点がぼやけてしまった印象がある。林もと大阪家庭裁判所所長からは、「調停などをやっておりますと、実は弁護士さんがいなければ簡単に成立するのに、弁護士さんがついているためにいろいろと難しいことを言われて成立しないということが非常によくあります。そのことが本当に依頼者のためになっているのか」とか、藤井院長からは、「医療というのは、本当に命がけで、我々は体を削ってやっているんです。だけど…裁判に負けたからといって、負けた側の弁護士さんというのはどういうふうな形でパニッシュメントをうけているのか。ただ報酬がもらえないだけ。これはやはり甘い世界だと思うんです。極めて甘い世界で仕事を依頼されているということは、そこに何か甘えがあるんじゃないか」などと、かなり厳しい苦言も放たれているが、弁護士側からは反論もなく、やや肩すかしであった。

とはいえ、「客を待たせて平気」な施設の二大巨頭だった裁判所や病院が、一部かもしれないが顧客満足を追求しているという事実は、素直に受け止めるべきだと思うし、翻って弁護士にとっての顧客満足とは何かは考えなければならない。

弁護士と、裁判官や医師の仕事には相違点も多いが共通点もある。たとえば、しばしば、ものすごく筋の悪い事件(症状の患者)を引き受けなければならない、という点だ。離婚しようがしまいが、絶対に幸福になれない夫婦、難病で、およそ助かる見込みのない患者を引き受けたとき、裁判官や医師は、どうやって「顧客満足」を追求するのだろうか。

そこには、弁護士のあるべき姿に対するヒントが含まれているような気もする。

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コメント

最初、弁護士近未来小説かと思いました。
カテゴリ見て、事実なのだなと。
さすが大阪、さすが友新会。

投稿: なしゅ@東京 | 2012年4月 6日 (金) 01時18分

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