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2012年5月11日 (金)

たった一人の卒業式

「丼上正仁(仮名)君。貴殿は当学院の全課程を修了したことを証します」

居並ぶ教員と来賓の前で、修了証書を受け取る卒業生は丼上君ただ一人。とはいえ、ここは過疎地ではない。東京都郊外にある法科大学院だ。

この法科大学院は2004年(平成16年)開校した。定員は1学年30人だが、2007年(平成19年)には定員割れとなり、丼上君の学年の入学者は5名。そのうち4名も次々と退学し、修了式を迎えたのは丼上君ただ一人となった。

その丼上君、この法科大学院を卒業するのは実は2回目。1回目の卒業後、司法試験を3回受験したが合格できず、受験資格を失ったため、再度入学した。「僕ももう33歳だし、受験資格は大事に使いたい。今年の司法試験は受けません。受験予備校に通って実力の底上げをしたい」という。ちなみに、この法科大学院の修了生で司法試験に合格したのは、修了生184人(延べ人数)のうち、3人。

卒業式では、修了証書授与のあと、全員で国歌を斉唱した。今年から文科省の通達により、法科大学院の修了式でも国歌斉唱の際の起立と斉唱が義務づけられたため。教員らは互いの口を指さして唇の動きを確認し、お互いに耳を近づけあって「口パク」でないことを確かめ合っていた。ある教員は匿名を条件に、「大幅な定員割れが続く当院が文科省から補助金を受けるための涙ぐましい努力」と解説する。文科省の資料によると、今年度、卒業生ゼロの法科大学院は、全国に10校以上あるが、「法科大学院の適正配置」を訴える日弁連の反対などもあり、統廃合はなかなか進まない。

最後に佐藤幸司院長が祝辞を述べて丼上君を激励し、「必ず合格してください。今度三振しても、そのとき当院はあるか分かりません」と述べた。会場には、乾いた笑いが広がった。

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コメント

かなり、怖い話ですね。
現実化しないことを祈らずにはいられません。
それにしても、丼www

投稿: 高嶋孝三 | 2012年5月14日 (月) 22時51分

丼上正仁で大草原いいすかwww

丼上をはやらせコラ!

投稿: ノンケ | 2014年6月26日 (木) 12時31分

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