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2012年5月21日 (月)

TSUTAYAが公立図書館を運営することと貸出履歴の問題について(4)

民間事業者が委託を受けて、公立図書館の運営をすること、いいかえれば、当該民間事業者に住所氏名及び貸出履歴という個人情報を提供しなければ蔵書の借り出しができない、という制度は、プライバシー保護法制度上は許される。

また、図書館内で貸出履歴を統合したレコメンドを行ったり、個人情報を取り払った抽象的な情報(口コミなど)を第三者に提供したりすることも可能だ。

では、民間事業者の中でも、CCCが公立図書館の運営をすることについては、どのような問題があるのだろうか((1)で指摘した『第二の問題』)。

CCCはレンタルビデオ業や書籍販売業を行っているから、TSUTAYA会員のDVD貸出履歴を把握している。そのCCCが公立図書館を運営して、利用者の蔵書貸出履歴を把握すれば、住所氏名などの個人情報を媒介して、DVDと書籍の貸出履歴の紐づけが可能になる(このことは、Tポイントカードを利用させることで簡単に実現できるけれども、技術的には、Tポイントカードがなくても、実現可能だ。ちなみに、Tポイントカードには、CCC以外の事業者による紐づけを可能にする機能があるが、この点については後述し、本エントリではCCC内部での紐づけのみ検討する)。

たとえば、図書館でトルーキンの小説を借りた人が、TSUTAYAで『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズを借りたことが分かるし、図書館でバーネット作の『秘密の花園』を借りた人が、TSUTAYAで『女子高生 秘密の花園』というアダルトDVDを借りたことが分かる。このマッチングデータを統計的手法で分析すれば、TSUTAYA会員に対して、図書貸出履歴をもとに、「あなたにお勧めのDVD」を広告することができる。たとえば、(A)ある恋愛小説を借りた女性に、映画化されたDVDを告知できるし、(B)経済小説好きの男性にバイオレンス映画好きが多いという統計データがあれば、それをもとに、経済小説を借りた男性に、バイオレンス映画を薦めることができる。

この手法は、CCCに大きな利益をもたらすだろう。問題は、それが法的に許されるか、許される条件は何か、という点だ。前提として、図書館の運営委託者である市の許諾が条件となるが、この条件は充たされているものとする。

結論からいうと、このようなデータマッチングは許されると考える。ただし、公立図書館の利用者には、これを拒否する(オプトアウト)権利が認められるべきだ。なぜなら、データマッチングは、現代デジタル・ネットワーク社会において一般的に禁止することは不可能だし、社会的経済的にも、利用者自身にも、大きな利益をもたらすことがあるし、この利益を享受したいという利用者の要求は実現されて然るべきだからである。

他方、公立図書館の利用者には、可能な限り自由に、蔵書を借り出す権利が保障されるべきであるし、データマッチングは、貸出管理に必要不可欠な本質的要素ではない。データマッチングを拒否したい市民に対して、借り出さず、図書館内で読めばよい、と言うことは許されない。

オプトアウトかオプトインかは悩ましい問題だが、オプトアウトで足りると考える。公立図書館における貸出履歴とCCCの持つたの情報とのデータマッチングに、いちいち事前承諾を求めなければならないほどのリスクがあるとは思われないからである。

お詫び;エントリにあたり、旧エントリ(3)を新エントリ(4)と同じ題名で重複公開する不手際がありました。お詫びします。

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