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2012年6月18日 (月)

オウム特別手配犯写真雑感

3人のオウム特別手配犯が逮捕されたが、3人とも、手配写真とはほど遠い容貌だった。通報を受けて「似てるけど違うよ」と言ったという警察官も情けないが、いいかえれば、それほど人間の能力は頼りない、ということだ。本件では3人とも素直に同一性を認めたが、本人性をあくまで否定した場合、刑事手続上は、指紋等で特定しなければならなくなる。

人間の画像認識能力は、人の顔面を読み取る能力が、とてもチューンアップされている。天井の木目に人の顔を見いだしたり、心霊写真と大騒ぎしたりするのも、この能力のなせる技だ(ごくまれに、本物の幽霊が写っていることはあるとしても)。集合写真から友人を見つけ出し、親子の似ているところを探し出す能力にも長けている。家族であれば、コンマ数ミリの表情筋の変化も読み取る。これは、人類が極めて社会性の強い動物であることから、敵味方を判別し、集団内の密接なコミュニケーションを取るために、身につけていった能力なのだろう。

だが、手配写真との同一性や、17年間の容貌の変化を読み取る能力はないらしい。考えてみれば当たり前の話で、この種の能力は、人類進化の歴史上、必要ではなかったのだ。

司法修習生のころ、覚せい剤使用の現行犯で逮捕されたイラン人の刑事事件を見学したことがあった。被疑者はパスポートを所持し、自分だと申し立てたが、本人とは似ても似つかない写真だったため、氏名不詳で起訴されてしまった。だが、逮捕当時は覚せい剤の使いすぎでガリガリに痩せていた被告は、拘置所で「健康的」な生活を送った結果、みるみる太って、パスポートの写真にどんどん似ていき、公判廷では誰が見ても、パスポートの写真そのままだった。

ところで、Googleの提供するPICASAという無料の画像整理ソフトは、ハードディスクから顔画像を探し出し、名前が分かる顔画像には名前をタグづけし、分からない画像には候補を添えて尋ねてくる。この機能が秀逸で、親子兄弟親戚という、「血の濃さ」にそった優先順位をつけてくる。

今、PanasonicOMRONNEC等、防犯カメラの画像処理を手がける各メーカーは、顔画像の特定技術にしのぎを削っている。特に重要視されているのは、変装しても、長年月を経ても、本人を特定する技術だ。例えば画像から頭蓋骨の骨格を割り出し、類似性を判別する技術は、人間の能力を遙かに上回る。

何かと問題が指摘される防犯カメラだが、この種の技術は伸ばしていくべきだと思う。

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