« 内藤頼博の理想と挫折(12) | トップページ | 韓国の司法制度改革について »

2012年10月26日 (金)

大谷、予備試験挑戦へ

岩手県花巻東大学の大谷翔兵衛君(21)が、来年度の司法試験予備試験を受験すると宣言した問題に関し、日本ロースクール連合会の佐藤麹会長は、「予備試験を受験した者は、ロースクール入学を志願しても、20年間、願書を受け付けない」と述べた。これにより、司法試験予備試験に落第した場合、ロースクールへの道が事実上閉ざされることになるため、大谷君の去就が注目されている。

大谷君は、大学1年生から司法試験の受験勉強を始め、3年生になってからは、模擬試験で3回連続全国一位を獲得した「逸材」。大谷君を迎えれば、大きな宣伝となるため、各ロースクールは水面下で獲得競争を繰り広げていた。しかし大谷君は、「今受験しても合格するのに、なぜ2年も3年もロースクールに行かなければならないのか。自分は早く法律家になりたい」として、予備試験の受験を決断した。

司法試験予備試験は、ロースクールを卒業しない者にも法曹資格を取得する途を開くために設けられた試験。これに合格すれば、司法試験を受験することができる。今年度の司法試験では、ロースクール卒業生の合格率が約25%だったのに対して、予備試験組の合格率は約68%となり、特に現役学生の合格率はほぼ100%に達した。

これに危機感を募らせているのが日本ロースクール連合会。中西事務次長は「ロースクールは、実務家のため必要な教育を行う場所。『早く受かりたい』という理由で予備試験を選ぶという態度は、制度の趣旨とかけ離れている」と述べたが、「本音は、優秀な学生に見捨てられるのが怖いだけ」と、事情通は解説する。東京大学の丼上総長は、「大谷君のメジャー挑戦はロースクールの危機」と述べ、『予備試験』と『メジャー』との言い間違いに気づかないほどの狼狽ぶりを示した。

一旦予備試験を受験したら、事実上ロースクールに行けなくなるという「佐藤ルール」は、予備試験ルートで法曹を目指す若者に対して、一定の「脅し」になろう。「教育の機会均等の理念に背く」(文科省幹部)という批判もあるが、「要は、学生獲得のため、なりふり構わぬ手段に出た」(事情通)というところだろう。

だが、「佐藤ルール」は本当に、優秀な学生のロースクール離れを阻止できるだろうか。模擬試験で大谷君と常にトップを争う田沢純次君(21)は、「僕も予備試験を受けますが、もし落ちても、ロースクールには行くつもりは、初めからありません。だって、ロースクールから司法試験に受かっても、予備試験合格組には一生勝てない。トップグループに入れないなら、ほかの業界でトップを目指すだけ。『佐藤ルール』なんか、怖くも何ともありません」と言い切った。

「佐藤ルール」は、思惑通り、ロースクールに人材を取り戻す切り札になるのか、それとも、法曹界から人材を追い出すことになるだけなのか。発足して10年足らず。ロースクールは、早くも、大きな曲がり角を迎えている。

注;このエントリはフィクションです。実在する個人または団体とは、何の関係もありません。

|

« 内藤頼博の理想と挫折(12) | トップページ | 韓国の司法制度改革について »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/192469/55971175

この記事へのトラックバック一覧です: 大谷、予備試験挑戦へ:

« 内藤頼博の理想と挫折(12) | トップページ | 韓国の司法制度改革について »