« 福岡県弁護士会木曜会講演原稿より(2) | トップページ | 福岡県弁護士会木曜会講演原稿より(4) »

2012年11月26日 (月)

福岡県弁護士会木曜会講演原稿より(3)

1116日、福岡県弁護士会木曜会設立40周年記念講演『弁護士の近未来予想図~弁護士に明日はあるか?』で40分間の基調講演を行う機会を頂きました。実は、この企画は2年前にあったが、私が倒れたためキャンセルされていたものです。折角の機会だったのですが、リベンジということで、気負いが先に立ってしまい、やや盛り込みすぎの内容になってしまいました。そこで、以下数回に分け、原稿に基づき、実際の講演内容に加除修正を加えてブログに記します。

**********************************************

第二に、単位弁護士会の未来を予測してみます。とはいえ、全単位会の予測は手に余るので、「大阪弁護士会の今日は福岡県弁護士会の明日か?」と題しておきます。触れるのは、会財政の問題と、弁護士自治の問題です。

大阪弁護士会は、平成18年(2006年)に、新会館に移転しました。そして昨年度、会の会計は初の赤字決算となりました。その原因は、倒産事件の減少を主要因とする負担金会費収入の減少と、法律相談センターの赤字です。この赤字額は、15000万円に達しました。計算方法によっては7000万円という見方もありますが。

赤字の原因は、相談件数の減少です。実は平成14年がピークで、以後一貫して減少しています。減少の原因はよく分かっていません。法テラス、他士業、そして、一般事務所も初回法律相談無料を謳うようになったからだという説明が有力ですが、証明されていません。

大阪弁護士会は現在、赤字緩和策を検討中です。検討されているのは、件数増加策と経費削減策であり、増加策として1119日より、ネット予約が開始されます。しかし、私の予測としては、様々な手を尽くしても、焼け石に水でしょう。残された手段は、負担金会費の増額と、弁護士会職員のリストラしかないと思います。どちらも、担当執行部としては、茨の道ですね。

大阪弁護士会は、110人という、東京弁護士会より多い職員を抱え、その半分が法律相談センター業務に従事しているそうです。つまり赤字の原因は、職員の人件費です。このまま相談件数が減り続け、他の機関が受け皿になっているとすれば、法律相談センターはその役目を終えたという見方もありえます。

福岡県弁護士会は、新会館の建設を決議したと聞いています。これについて、いろいろな議論はあって当然ですが、是非、大阪の現状を参考にしていただきたいと思います。

さて、会財政の問題は、弁護士会自治の問題と、密接に関係しています。なぜなら、弁護士会自治は、経済的には会費によって支えられているからです。会費が高いと文句を言う弁護士は多いですが、その会費が何に使われているかを知る弁護士は少ないように思います。答えは簡単で、会館建物のローンと維持費、そして職員の人件費です。つまり、弁護士自治を支える会費は、会館の建設維持と、職員の給料に使われているのです。

その自治は、外と内から、大きく揺らいでいます。外の問題とは不祥事の多発です。ご案内のとおり福岡では、この1年の間に5件の重大な不祥事がありました。先ほど控え室で幹事の方とお話をしたところ、皆様一様にショックを受けておられることに接し、「福岡の弁護士さんはウブだなあ」と、ある意味新鮮な驚きを感じました。自慢にも何にもなりませんが、大阪でも一昨日一人が逮捕され、まだ次があるという噂すらあります。問題は大阪の方が比較的慣れっこになってしまっていることで、これは、弁護士自治にとって危険な兆候です。『こんな日弁連に誰がした?』にも書きましたが、平成6年(1994年)にはバブル崩壊のあおりを受け、弁護士が相次いで逮捕され、土屋公献日弁連会長と東京弁護士会長が謝罪会見を開き、また、事務総長が国会に呼ばれ厳重注意を受けたことがあります。不祥事が続き、弁護士会の自浄能力が信頼を失えば、弁護士自治は崩壊につながります。

では、弁護士会が自浄能力を備えることは可能でしょうか。私は無理だと思います。自浄能力を回復するには、弁護士会に監察室を設け、捜査権限を持つ専従弁護士を置くしかないと考えます。「特命武装弁護士」ですね。問題は、この弁護士にかなり高い給料を払わないといけないことであり、それを現在の会財政が支えられるか、だと思います。例えば大阪弁護士会が34名の専従弁護士を雇い、担当職員と合わせて6000万円の人件費をかければ、会員1人あたり2万円弱の会費増となります。これこそ端的な「自治権の維持費」ということになります。しかし、「それほど多い費用を負担するなら自治はいらない」という意見が出てくるのは当然だと思います。(続)

|

« 福岡県弁護士会木曜会講演原稿より(2) | トップページ | 福岡県弁護士会木曜会講演原稿より(4) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/192469/56190803

この記事へのトラックバック一覧です: 福岡県弁護士会木曜会講演原稿より(3):

« 福岡県弁護士会木曜会講演原稿より(2) | トップページ | 福岡県弁護士会木曜会講演原稿より(4) »