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2012年12月 3日 (月)

福岡県弁護士会木曜会講演原稿より(6)

1116日、福岡県弁護士会木曜会設立40周年記念講演『弁護士の近未来予想図~弁護士に明日はあるか?』で40分間の基調講演を行う機会を頂きました。実は、この企画は2年前にあったが、私が倒れたためキャンセルされていたものです。折角の機会だったのですが、リベンジということで、気負いが先に立ってしまい、やや盛り込みすぎの内容になってしまいました。そこで、以下数回に分け、原稿に基づき、実際の講演内容に加除修正を加えてブログに記します。

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以上、「弁護士の未来予想図」というお題に従い、ごく簡単に未来予想をしてみました。まとめますと、年2000人体制は当分維持されるでしょうし、法科大学院制度の廃止も、給費制の復活もありません。弁護士自治と、弁護士法72条は、改廃の方向に向かうでしょう。

もちろん、それだけでは終わりません。給費制廃止の次に来るのは、分離修習と、司法研修所の廃止です。現に、司法修習生の8割は、判事検事になろうと思っても無理なのですから、分離修習は事実上始まっています。それなら、高い予算をかけて、弁護士にしかなれない修習生を養成する義理は、裁判所にも検察庁にもありません。現に、裁判所も検察庁も、分離修習いつでもOKとばかり、大変立派な自前の研修施設を保有しています。法科大学院が適切な数まで減れば、司法試験が事実上廃止されて任官試験だけが残り、法科大学院の卒業試験に合格すれば弁護士登録が可能になるでしょう。

帝国大学法学部を卒業すれば無条件で弁護士になれた、その時代が復活するわけです。すなわち、法曹養成制度は、明治初期に向けて、大きな巻き戻しを始めているのです。給費制の廃止は、その大きな流れの中では、「終わりの始まり」に過ぎません。

この巻き戻り現象は、司法だけではなく、日本全体の現象だと、私は考えています。大雑把に言うと、明治維新と敗戦を契機として、外部の圧力による西洋的近代化を無理矢理進めてきた日本が、その努力に疲れ果て、伸びきったゴムのように、江戸時代以前に向かって巻き戻りを始めているのです。そのなかで、なぜ司法の巻き戻りが最も早いかというと、最も日本の「身につかなかった」のが、近代的司法制度だからです。

このように考えてくると、滅びの始まりを迎えているのは、弁護士会だけではないことが分かります。弁護士会の次は裁判所の順番です。実際のところ、裁判官の給与体系を解体して上級国家公務員以下にすることは、戦後以来、大蔵省をはじめとする行政府の悲願だと言って過言ではありません。そして、行政府の政策をほぼ100%追認してきた裁判官に、行政官より高い給料を保障する実質的理由はありません。

裁判所を司法省が監督し、検察官僚が裁判官を支配する体制を確立したのは戦前の大審院長、検事総長そして首相を務めた平沼騏一郎(平沼赳夫氏の養父)ですが、彼が構築しようとした「日本型」司法制度は、復活の兆しを見せていると思います。(続)

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