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2013年2月25日 (月)

鶏口になるとも牛後になるなかれ

和田吉弘弁護士が、法曹養成検討会議第7回会議で、「予備試験がむしろ法科大学院制度を支える機能さえ果た」と発言して話題になっている。「予備試験と予備試験経由での司法試験の受験のための勉強をした人が、(法科大学院の)人材の重要な供給源ということにならざるを得ない」から、という理由だ。

そうなるかなあ、と疑問に思う。

分かれ目は、「予備試験に落ちた人が、法科大学院に行くか」という点だろう。もちろん、実際には、行く人もいるし、行かない人もいる。問題は、予備試験落第者の本質をなす者はどちらに行くか、ということだ。

平成24年の予備試験合格組のうち、現役大学生は、司法試験最終合格率ほぼ100%をたたき出して話題となった。彼らは、法曹界でのトップエリートである。今頃、裁判所、検察庁、そして大手事務所が、熾烈な争奪戦を繰り広げているだろう。大手事務所が予備試験組に提示する初任給が、年俸2000万円を下ることはあるまい。任官しても、事務総局から最高裁判事へのエリート街道を驀進するだろう。

「予備試験組」の高待遇を目の当たりにし、トップエリートを志す大学生は、予備試験ルートで司法試験現役合格を目指し、1年生から猛勉強を始めることになる。

問題は、予備試験に落第したときの、彼らの選択だ。彼らは、法科大学院に行くだろうか。

予備試験に落ち、法科大学院既習者コース経由で司法試験に合格したとしても、予備試験組から2年遅れている。合格順位がよほどよくない限り、トップエリートにはなれない。それにもかかわらず、敢えて法科大学院に入学するメリットがあるだろうか。彼らには、国家公務員試験や外交官試験、民間企業を含め、トップエリートとなる選択肢は、ほかにいくらでもあるし、志と能力のある若者は、昔からこうやって人生を選択してきた。

私は、予備試験ルートを「本気で」目指した若者は、落第しても法科大学院には行かない、と予想する。その意味では、予備試験受験生が法科大学院の人材供給源になることはない。

但し、予備試験ルートを「本気で」目指さなかった若者が、法科大学院に入学することは、十分ありうる。彼らは、大学3年生くらいで法曹を志し、「卒業記念」に予備試験を受けるがあえなく落第。でも成績を見ると「そこそこ良い」ので、「法科大学院に入れば司法試験に合格できる」と考える。彼らはもともと任官・任検する気も無ければ大手法律事務所に行けるとも思っていないので、2年余計に勉強する余裕さえあれば、法科大学院に行くことは、一つの選択肢だろう。その意味では、予備試験受験生が法科大学院の主たる人材供給源になるという和田委員の発言は、文字面としてはそのとおりだが、彼らにとって、予備試験は模擬試験でしかない。

和田委員の発言の真意は、予備試験撤廃論に反論することにある、と思う。撤廃論者に対して、「予備試験をなくせば、困るのは法科大学院ですよ」と脅す、「ためにする議論」ではないのだろうか。

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コメント

タイトルを見て興味を覚えエントリーを読みました。
なるほど、トップエリート。2000万円ですか。
片やノキ弁、あるいは未登録。登録抹消。片や2000万円。
これが司法改革の実相なのでしょうか。
エントリーを読み終えてタイトルを再度読み直しました。
予備試験がそのように使われることを誰が予想したのでしょうか。

投稿: 渡邊豊 | 2013年2月26日 (火) 16時04分

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