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2013年7月17日 (水)

亡国の司法改革

国民生活センターは16日、全国の消費者センターで、弁護士報酬をめぐる苦情が急増していると発表した。この種の苦情は昨年比3倍に達しているという。

東京都のAさん(61歳)は、社会人になったばかりの長男が大麻取締法違反で逮捕・起訴されたため、インターネットで探した弁護士に依頼し、執行猶予判決を取れたが、請求された報酬は税抜きで500万円だった。「いかにも正義の味方で、馬力のありそうな名前の法律事務所だから信用したのですが、たまたま知り合った別の弁護士から、『前科前歴がなければ執行猶予は普通。弁護士費用も500万円は法外。せいぜい50万円の事件ですよ』と言われ、騙されたのではないかと心配になった」と語る。また、大阪府のBさん(48歳)は、街頭で配られたチラシを頼りに、弁護士に債務整理を依頼したが、「債権者1人あたり20万円の着手金を払ったうえ、債務免除を受けた金額の2割を請求されました。弁護士費用だけで300万円になります。これなら、消費者金融に払い続けていた方が楽でした」と話す。

一方、問題とされた法律事務所は、法外な請求との主張を真っ向から否定した。「当事務所は弁護士会の指導に基づき、お客さまとの間で詳細な契約書を作成し、オプション料金も丁寧に説明しています。契約書通りに請求しているのに、法外とは、心外です」。

国民生活センターによると、「弁護士報酬をめぐるトラブルが様変わりしている」という。「昔は、寿司屋型。契約書はなく、店主の言い値を払うしかなかったが、多くは良心的。今は、回転寿司型。明朗会計だが、勧められるままに食べていると、皿がとんでもない枚数になっている」

正確な統計はないが、近年、事件あたりの弁護士報酬は高額化している、と経済評論家の森永宅郎氏は指摘する。「日本は2000年以降、弁護士を急激に増やす政策をとりました。その理由には、弁護士を増やして競争原理を導入すれば、費用が安くなるという考えもあったと思われます。しかし、弁護士費用が安くなるのは、十分に市場が広く、薄利多売の成り立つ環境が前提。十分な市場がないまま弁護士だけ増えれば、1人あたりの事件数が減る以上、事件単価が上がるのは当然です。弁護士だって、家族や従業員を養う必要がありますから」と語る。

「法外な弁護士報酬額を規制する考えはないのか」という本紙記者の問いに対し、弁護士会は及び腰だ。もともと、弁護士報酬は全国一律の報酬基準が定められていたが、公正取引委員会から価格カルテルではないかと指摘を受け、平成16年に廃止した経緯がある。「今や弁護士報酬は、顧客と弁護士との自由契約。相場に照らせば10倍かもしれないが、契約書まで作っている以上、規制する理由は見あたらない」。契約書の締結を指導してきたこともあり、これを逆手に取った高額請求には、お手上げのようだ。

日弁連評論家の小林正啓弁護士「見たか日本人。これが司法改革だ。」

注;このエントリはフィクションです。実在の個人や団体には、一切関係ありません。

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コメント

刑事弁護で「いかにも正義の味方で、馬力のありそうな名前の法律事務所」、というと思い当たる事務所がありますね・・・
刑事弁護専門という戦略をとる事務所があるというのは、私はある意味では司法制度改革のプラスの側面と言ってもいいのではないかと思います。マーケティングは弁護士業界(そういう限定的な業界があれば、の話ですが)を除いた全ての業界で用いられるツールであり、その結果としてそのような事務所も生まれたと思うからです。これまではおそらく、業界にはマーケティングのマの字すらなかったと思います。

「司法」制度改革といいながら増えたのは弁護士ばかりで、裁判官や検察官はほとんど増えていません。司法制度による解決が多くの現実に対して選択肢として非現実的であるかまたは好意的に見ても単なるコストでしかない、という事実が看過されているような気がしてなりません。

投稿: y | 2013年7月17日 (水) 00時57分

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