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2013年8月15日 (木)

終戦記念日と美人と作られた常識(再掲)

815日になると必ず放送される、皇居前広場で敗戦を嘆く人びとの映像がある。

その中に、子どものころから不思議だった場面がある。

下のYouTubeでは403秒から出てくる、妙齢の女性が泣くシーンだ。

顔を隠しているとはいえ、美人であることは明らか。いかなる状況でも、美人を撮るのが、カメラマンの本能だ。だが、不思議なのはこの点ではない。

この女性は、パーマをかけている。

日本史では、戦時中の昭和18年末に電髪(パーマのこと)禁止令が出された、と教わった。また、東京一帯は空襲で焼け野原になった、と教えられた。だがこの女性は、パーマをかけている。ということは、このとき、(おそらく)東京都内で美容室が営業され、パーマが行われていたことを示している。しかも、禁止されたパーマをかけて東京都内を歩く女性を「非国民」と指弾する者も、いなかったことになる。

もちろん、この映像に疑問を差し挟む余地は多い。「玉音放送」の音声がかぶせられることの多いこの映像だが、昭和20815日当時、玉音放送が降伏の表明であることを事前に知る者はごく少数だったから、この女性が玉音放送前に皇居に駆けつけ、放送を聞きながら泣いた可能性は低い。降伏を知ってから皇居前に出かけたのだろう。だが、それならこの女性は、この時たまたまパーマをかけていたか、あるいは、終戦を知り、皇居前に出かける際、身だしなみとしてパーマをかけたかのいずれか、ということになる。いずれにしても、授業で習った戦時・戦後下の風景とはずいぶん違う。

不思議と言えば、同じく815日に撮影されたという、この写真も不思議だ。

Photo

寄り添って泣く3人の女学生だが、手前の女学生は、半袖の白い薄手のブラウスを着ており、華奢な背中に下着の肩紐が透けて見えている。中学生男子のリビドーを、いたく刺激する格好だ。また、よく見ると、柄物のスカートを穿いている。やはりカメラマンの本能として、その場にいた最も「絵になる」被写体を撮ったと思われるが、それにしても、「国民服にモンペを強制されていた」という教科書的常識とは、ずいぶん違う。また、教科書的常識に照らせば「ど派手」な格好なのに、「はしたない!」と叱る大人がいなかったと見える。

戦時中の日本は軍部独裁の暗い時代だった、という「常識」は、おそらく間違いである。より正確にいうなら、「作られた常識」だ。たとえば、「鬼畜米英」「撃ちして止まむ」などの悲壮な標語は、その多くが昭和18年以降に生まれている。つまり、本当に暗かったのは、負けが決まった後、つまり終戦前の2年ほどに過ぎない。また、軍部が独裁色を露わにしたのは、戦局が不利になり責任論が浮上した後のことだ。しかも一般国民は、政府がヒステリックに叫ぶ「電髪禁止令」や「国民服にモンペ」を適当に受け流し、それなりにおしゃれや贅沢を楽しんでいたし、それを非国民と指弾する声も小さかった。そのあらわれが、婦人のパーマであり、女学生のブラウスと下着の肩紐ではないか。

もちろん、たったこれだけの資料から、何かを断言することはできない。だが少なくとも、教科書的「常識」を疑う必要を、これらの写真から読み取るべきだと思う。

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コメント

これらの写真については、佐藤卓己氏が『八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学』(ちくま新書)で検証されています。
かなりのものが「やらせ」と後日に撮り直したものだとか。

作家の星新一は、玉音放送を聞いて好奇心から宮城の様子を見に来ましたが、人っ子一人見ること無く、余りもの静けさに驚いたようです。
また、内大臣の木戸幸一の日記には、戦争が終わって「万歳」と喜んでいる庶民の様子に違和感を抱いた旨が記されています。

投稿: ケン | 2012年8月15日 (水) 12時34分

ケンさん、コメントありがとうございます。『八月十五日の神話』は私も読みましたが、今回ご紹介した写真は、この本には出ていないようです(問題のシーンの直前、4分の男性の映像は20頁に掲載されていますが)。
また、やらせではないかとの点については、事前に一応検討しましたが、YouTubeの婦人については、次のショットで遠景が写り、多数の土下座している人が写っていることから、次に、女学生の写真については、後ろに無粋にも自転車の車輪が映り込んでいることから、いずれもやらせではないと判断した次第です。おそらく、数日後に撮った写真なのでしょう。そうだとしても、本文に書いた疑問は同じく発生しますが。

投稿: 小林正啓 | 2012年8月15日 (水) 14時04分

こんな本あります。
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013041400005.html

投稿: バカラ | 2013年8月18日 (日) 20時48分

ケンさんがご指摘されているように、この写真は捏造写真で、前日にそこらの人に協力させて撮影したものだそうです。
やらせたのは毎日新聞。
つまり、前日には詔勅があり戦争が終わることをマスコミ連中は知っていたということですね。
開戦を煽ったり、いつの世でもマスコミはろくなことをしません。

投稿: Ksmagic | 2014年4月19日 (土) 20時20分

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